右手に拳銃、左手にナイフを持て 30万。それが俺に付けられた値段。そこら辺の人間にしては価値が低いらしい。無愛想で役立たずだから仕方ないと言えば仕方ないのだが。別に今更悲しくなんかない。俺は要らない存在なのだから。 「No.138、買います」 今日もまた俺を買う人間が来た。 役立たずな俺の購入理由は大半が性処理だ。俺で性処理をする理由は顔が良いからだろう。昔から客からは眉目秀麗だと言われてきた。そうやって誉めてくるくせにすぐに返品するんだ。だから人間は信用できない。大嫌いだ。 「返品は可能ですが、お金の方は返すことが出来ませんので御了承下さい」 「…解りました」 説明をする店員に、俺を買ったと思われる男が返事をする。目を塞がれている為、顔は認識出来ない。でも声は低くて、優しそうな感じだった。 「…大丈夫か?」 暫く説明を受けた男は俺を連れて外へと出た。目隠しを取り、心配そうに尋ねてくる男は、整ったイケメン顔をしていた。 「…大丈夫…アンタ、名前は?」 「俺は平和島静雄、だ。好きに呼べよ」 ニコッと笑い掛けてくる男…平和島静雄に、俺も釣られて笑みを零す。自然に笑った自分に驚いた。 「お前の名前は?」 「折原臨也。通称No.138」 「じゃあ臨也って呼ぶな」 わしゃわしゃと頭を撫でられて、顔が赤く染まっていくのが自分でも分かった。それを隠すように平和島静雄の名前を呼ぶ。 「し、シズちゃんっ!」 「テメ、シズちゃんって何だよ!」 「シズちゃん、可愛いじゃん」 怒りを見せるシズちゃんを見て、俺はホッとした。今までの人間とは違う。…きっと、俺は近々シズちゃんに恋するだろう。いや、もう恋に落ちてるかもしれない。 「とりあえず、なんか食うか」 「そうだね。シズちゃんの手料理楽しみ!」 「臨也の好きなもん作ってやるよ」 こっちを向いた際に、光に反射して輝く金髪がとても綺麗だと思った。 でもそれ以上に、笑ったシズちゃんの顔の方が綺麗だった。 End. 恋に落ちる音がしーたー。 商品な折原さんと折原さんを購入した平和島さんのお話。 |