09 作戦会議





「さーて、第二種目よ!私はもう知ってるけどー……何かしら、何かしらぁ……?」
「言ってるそばから……これよ!!」


久治木灯は今、呆然と立ち尽くしている。

第二種目は「騎馬戦」と発表された。ルールは基本、一般の騎馬戦と同じものだが、一つ違うのがその方式。先ほどの障害物競走の結果に従い、各自に「ポイント」が振り当てられる。
つまり、組み合わせによっては騎馬の持ちポイントも変わる仕組みになっている。

しかし、肝心なのはそこではない。

「どうしよ……組める人いない……!!」
「……」

予選通過者の9割はヒーロー科。つまり、同じクラスの者同士で組んでしまうのだ。
現在、久治木とチームを組むと決まったのは級友の心操人使ただ一人。その心操はというと、焦る様子も無くただ周りを見渡していた。
このままではたった2人で騎馬戦に出場することになってしまう。それは余りにも無謀だ。
すると、先ほどまで黙っていた心操が突然歩き出す。

「人使、どうしーー「なぁ、そこのアンタ」
「? なんーー?!」
「俺とチームを組め」

尻尾の生えた彼ーー後に尾白猿夫と知るーーは、心操に受け答えたため、見事彼の個性「洗脳」にかかった。
その調子で心操は他生徒にも話しかけ、個性を尋ねた後に「俺とチームを組め」と洗脳をかけていく。
ぽかんとしながら心操の様子を見ていた久治木だが、既に4人集まったことに気付き、はっとする。

「人使!すごい!4人集まった!!」
「まあ、個性使ったし。それより作戦練るぞ」

作戦を練ると言っても、洗脳にかけられた2人は意識がはっきりとしていない為、実質心操と久治木の作戦会議だ。

「基本、俺の洗脳で相手のハチマキを奪う。あの2人は騎馬の後ろに回す。どっちも攻撃型だから、後ろから迫られた時に使う」
「なるほど……それに、尻尾くんの方は相手騎馬を近寄らせずに済むね」
「そうそう。それで、久治木は……」

「3人の体力・治癒力の調整……後、取っ組み合いになった時に敵の体力を奪う」
「ご名答」

久治木と心操の口角がにっと上がる。
そして、交渉タイム兼作戦タイムである15分を迎え、スタジアムにタイマーが鳴り渡る。
プレゼントマイクがアナウンスを始めると、スタジアムが歓声に包まれる。


「さァ上げてけ 鬨(とき)の声! 血で血を洗う雄英の合戦が今!!」


「狼煙を上げる!!!!」



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