家族ごっこ5
2013/11/08 19:12



当然修吾には、楓が何を言っているかは理解出来ていない。
ただ、生きる為に必死だった。
激痛と恐怖に霞む頭に、言うことを聞けないと捨てられるという事実だけがひたすら渦巻く。

「かっえでさあ……っ好き、好き……!っうううう!?」

「はっくそ……!うるさいんだよ……!」

文字通り噛み付くようにキスで口を塞がれ、狂ったように暴れる楓の舌に口内を荒らされる。
楓の動きが益々荒々しくなり、突き上げられる修吾の小柄な身体が激しく揺れる。

「うっあっ楓さん……!痛あっああ……っ」

「っ出すぞ……!」

どくり。最後奥の奥を抉るように腰を突き上げてきた楓が、修吾を強く抱きしめ身を震わせる。
自身の体内を深くまでいっぱいに満たしている篠宮の雄が跳ねているのを、暗く霞んでいく意識の奥で感じた。
耳元、堕ちていく意識に響く、男の言葉。

「修吾、お前は一生俺のものだからな」






「修吾、行ってくるよ。今夜は早く帰ってくるからすき焼きにしようか。材料は俺が買ってくるから待っててくれるか」

「はい、楽しみです!楓さん行ってらっしゃい!お気をつけて」

「ありがとう。修吾もな」

「っん……」

修吾のスポーツ刈りの頭を撫で、その手で顎を掬い口づける。
直ぐに深くなるキスにも健気に応え、開けた修吾の目は淫猥に濡れていた。

「ふふ、かわいいな。……なあ修吾、お前は俺の?」

「あ、あの……俺は、楓さんの…………です」

「ん?」

「楓さんの、奥さんですっ」

顔を真っ赤にして答える修吾が可愛らしく、楓は再び触れるだけのキスをして漸く家を後にした。

最初は性欲処理の相手にと適当に相手をしていたあの女が転がり込んできた時は、本当に辟易した。しかも15歳の子持ちと、冗談じゃないと思った。
正直早く追い出したいのもあり相手にしないでいると、女の方から出て行った。元よりそういう女だ。
最初は残された修吾もさっさと追い出すつもりでいたのだが。
追い出されたくないという下心があるとはいえ、必死に家事をこなし篠宮を出迎えてくれる修吾の健気さには、早々に惹かれて始めていた。
妻のような役回りを演じてみせるその姿に劣情を催すようになったのも、その頃だ。
しかしただ優しくしたのであっては、いつかいなくなってしまう。それは許されない。絶対に逃がしたくなかった。
酷い言葉で傷付けたのも、抱いたのも、総ては自分から逃げられなくするためだ。
 



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