社内恋愛4
2013/11/19 17:20

川田もそんな溝山を前にとても酔うどころの話ではなく、今は店を出て、駅から近い溝山のアパートの一室を目指していた。
駅から近いといっても、徒歩15分はかかる。
吐き気と頭痛に苦しむ溝山を介抱しながら、何とか歩いていた。

「……すまねえ修吾、せっかくお前が時間作ってくれたってのに……」

「気にすんなよ!お前最近激務だったろ、疲れ溜まってたんだよ。ハイ水」

「わりい……」

いくらか落ち着いてはきたようだが、溝山の眉間の皴は緩むことはなかった。
肩を貸しながら、川田は溝山の腰をしっかりと支える。

普段は態度にも顔にも出さないけど、こいつも無理してたんだろうな……

無責任に功績や昇格を祝って焚き付けていたことを、申し訳なく感じた。








「溝山ー、水冷蔵庫入れとくぞ」

「あーすまん」

溝山のアパートに何とか無事に着き、溝山をベッドに横たわらせた後。
川田は買ってきたミネラルウォーターのボトルを冷蔵庫にしまってやり、ふう、とため息を吐く。

溝山の部屋は広めの1LDKだ。モノが余りなく、こざっぱりとしている。

何とか溝山も送り届けたし、少し落ち着いてきたみたいだし、と安心感を得たところで、急激に尿意が湧いてきた。

「すまん溝山、トイレ借りていいか?」

「……あー、そこの入口前の扉」

「ありがとうな」

溝山はまだダルいらしく、俯せでベッドに突っ伏したまま腕の動きだけで答える。
礼を言いトイレに入り、小用を足した。
手を洗いながら、もう少し溝山が復活したら帰ろう、と思う。

まあ飲み直してもいいけど……瞭毅何してるかな。電話してみようか。

「溝山〜、大丈夫そうか……?」

トイレからは死角になっているベッドを覗き込むように、顔を出す。
しかしそのベッドには、寝ているはずの溝山はいなかった。

アレ?

何処に行ったんだろうと疑問に思うのと、背後から腕を拘束するように身体を締め付けられたのは、同時だった。
驚愕に振り返ると、自分をがっちりとホールドしている溝山と目が合う。

そこいる溝山は、先程までの気分不快でダウンしている溝山ではなく、酷く醒めた目をした、得体のしれない男だった。

「みっ溝山……!?」

「偉い警戒心の無さだなぁ修吾。男の家に自分から上がり込んだんじゃ、何されても訴えらんねえぞ」

狼狽える川田を軽々と持ち上げた溝山は、そのまま移動し、川田をベッドの上へと放り投げた。





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