「おい瑞香………
ごーるでんうぃーく、ってのは何なんだぁ……?」
テレビを見ていたマリクが、訝しげにこちらに問い掛ける。
画面の中では、今日から始まる大型連休の話題と、オススメの観光地が映し出されていた。
「ああ……日本の連休だよ!
みんな、学校とか、多くの会社はお休みになるんだよ!
……って、GWって外国にもあるのかな?
わかんないけど……」
「ふん……」
興味なさそうに、低めのテンションで答えるマリク。
休みだと言った途端朝っぱらから人んちに押しかけて来てこれだから、全くどうしようもない。
「イシズさんたちは休みじゃないのかな……?
そうだマリク、もし暇なら一緒に出かけない?
みんなで遊びに行こうって話が出てるんだよね!」
「下らねぇ……
こんなに人がうじゃうじゃ居やがるところに、ヤツらと一緒に行くなんざオレは御免だねぇ……」
「……だよね〜〜
ははっ、何かこのやり取り毎回してるような気がする……」
「まぁ……、混んでねえところに、アンタと二人で行くってんなら考えてやってもいいよ……」
「っ……! なにをっ……!?
……って、混んでないところなんて……この時期どこも……」
「ハハッ!! 思いつかねえなら諦めるんだな……!!!
ククッ、この狭苦しい家に篭って連休中ずっとアンタといかがわしい事に興じるのも悪くないぜぇ……?」
「っ!! い、いかがわしいコトって何!!??
ば、ばかっ!! マリクのえっち!! 最低!!
第一、親が帰ってくるからずっとは無理!!
明日の夜までは居ないけど!!」
「お〜ん……? オレは何も言ってないぜぇ……?
何考えたのかねぇ……このヤラしい女は……
お望みなら明日の夜まで相手してやるよ……
貴様の身体が持てばの話だがなぁ……!!」
すぅ、とマリクの長い指が伸びて、私の顎をなぞる。
眠たそうで、それでいて不敵に光る邪悪な瞳に胸がぎゅっと締め付けられたが、理性を総動員して腕を振った。
「だめだめだめ!! あ〜〜もう!!!
何言ってんのバカぁ!!
……って、私もなに律儀に答えちゃってんの!?
っあっ!! ちょっ、マリク、何す――
っあ、やだっ、やだやだっ、脱がしちゃや――!!!」
「闇のゲームをしようぜぇ……!!
明日の夜まで、意識を失わなかったら貴様の勝ちだ……!!」
「えっ……!! っ、無理!!!
ぜっったい無理ぃぃ〜!!!
っ、ちょ……っ、んっ……、んんっ……!」
マリクに唇を塞がれ、触れられるだけで、たやすく崩壊していく理性。
マリクがその気になったら私には、最初から拒否権なんてないのだった――
「ああ〜〜っやだ〜〜!!!
貴重な連休がぁぁぁ〜〜!!!」
「ハハッ……クハハハハハ!!!!!」
哀れな断末魔と、邪悪な哄笑が家中にこだまし――
次の日の夜、憔悴しきって足腰立たなくなり、その翌日のみんなとの遊びの約束を断る羽目になったどうしようもない私がそこにいたのだった――
(連休を返せ〜!!
マリクのばかぁぁぁ〜〜!!!)
(途中からその気だったくせに何言ってんだぁ……?)
(っ! そんなことないもん!!
……ないもん、ない……もん………)
(素直になりなぁ……ククク……)
(ば……か………)
END
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bkm