恋は盲目3



サイゴ――

その言葉が重くのしかかる。


「バクラ……
もう一つ、聞きたいことがあるの……」

「何だよ」

「……、怒らない?
殴らない? まだ殺さない?」

「何だよ、ハッキリ言えよ」

私の顔はバクラの手によって真っ直ぐに固定されたままだ。


「もし、バクラが願いを叶えられても――
万に一つ、叶えられずに終わるようなことがあっても……
どっちの場合でも、私の魂も一緒に連れていってくれる……?」

「あぁ!?」

バクラが手に力を込め、鋭い眼光で声を荒げる。

「わっ……
ご、ごめんなさい!
ごめんなさい!!!」

地雷を踏んでしまったと思わず目を瞑る。

暴力を覚悟したが、しかし返ってきたのは柔らかい……
唇の感触だった。

「んっ……!」

「許さねえ」

一瞬で唇を離すとそう呟いて、顔が自由になったかと思ったら、私の身体はソファに投げ出されていた。


「ばくっ……、」

「オレ様が負けると思ってんのかよ!?
フザけんじゃねえ……!!」

「ごめんなさ……」

言い終わるより早く、胸部にピリッとした感触が走った。

「やっ……!?」

バクラに乳首を噛まれていた。

「貴様がそんなくだらねーこと考えられねぇように……
たっぷりお仕置きしてやらねえとな……」


ゾクリ。

期待と恐怖で背中が粟立つ。

「だ、ダメぇ〜……」

「ダメじゃねえだろ!
……いい声で啼けよ?
ゾクゾクするからなぁ!!

ヒャハハハハハ!!!!」


その後私は散々バクラに弄ばれたのだった――






「はぁ……はぁ……

もうダメ……
本当に……、ゴメンなさい……」


腰がガクガクで立つこともままならない。

脳が酸素不足でうまく回らない。

いろいろ移動したが結局私達はベッドの上にいた。

やっぱり……ベッドが一番いいよね、うん……
などと、怠い身体を横たえていると隣でバクラが静かに呟いた。


「オマエがそんなに望むなら……
連れて行ってやるよ……
冥府魔道の果てまでな……」

「バクラ……」

「あとな。
さっきのは虐めてみただけだからな。
オマエが戸惑いつつも逆らえねェのが面白くて突き放してみただけだ……!

だからもうさっきみたくギャーギャー泣くんじゃねえ!
ウザくてしょうがねえんだよ……!
どうせ泣かすなら恐怖に怯えてって方がゾクゾクするからなぁ……
ククク……!」

そうだったのか……
と、私はさっきバクラに要求された『適当に跨って来い』発言を思い出して、ついホッとしてしまう。

まあ本当にバクラが受け身でいろいろされたいならもちろん、私だって頑張るんだけどね。

でも、ただ座って、受け身に徹してるバクラは――
なんか想像できなかった。

なんだかんだ言って、私が触れられたいだけ、っていうのもあるけどね、と自嘲する。


「桃香……」

名前を呼ばれてドキリとする。

「オレ様から逃げたり裏切ったりしたら、殺してやる」

わかってる。

そんなこと、死んだってできっこない。


私の魂は貴方と共にあり――

たとえ貴方が滅びても。

貴方を独りにはしない……!

決して――――――



END

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