ソリチュード

「ふぅ…っ」
荒い息が何度も吐かれ、滝のような汗が体を這っている。
ヒソカはうなされていた。

「ヒソカ、ヒソカ!」
最初は肩を叩いて、それでも起きないからヒソカの体を揺さぶった。
すると、閉じられていた目が見開かれ、ヒソカは上半身を起き上がらせた。
「ヒソカ…」
aaaは心配そうな表情をしてヒソカを窺う。
「はぁっ、はぁっ」
ヒソカは肺に酸素を送ろうと何度も深く呼吸をする。
「…大丈夫?」
aaaがヒソカの体に触れると、ヒソカからどっと溢れ出すように殺気が放たれた。
「う…っ!」
aaaはヒソカの殺気に当たり小さく唸ったと同時に、ヒソカの手がaaaの首を捕らえた。
「うぐっ、ふ…!!」
ぎりぎりと絞まる手に、aaaは爪を立てて抵抗する。
ふと視界に入ったヒソカは欲情した時に似た表情をしていて、aaaはぞくりと背筋が凍り顔を強張らせた。
それがヒソカを興奮させる材料になると知っていても、aaaは恐怖を隠せない。
ヒソカの瞳はaaaを映しておらず、虚ろげだった。
「ひ…ヒソカ、ヒソ…っ!」
言葉が詰まり、それ以上は何も言えなかった。
しかし名前を呼ばれたことによりヒソカが我に返り、aaaを見つめてから手を離した。
げほげほとむせながら何度も息をして、生を実感する。
「aaa…」
さっきまでの殺気がなくなり、ヒソカがじっとaaaを見た。
「…ごめん、ボク、」
ヒソカはベッドに倒れ込み荒い息をするaaaを起き上がらせ、抱きしめた。
「大丈夫…大丈夫だよ、ヒソカ」
息を整えて、aaaはヒソカに微笑んだ。
「aaa、ごめん…」
ヒソカの体が震えているのを、aaaは全身で感じた。
aaaは優しくヒソカを抱きしめ返した。

「…うなされてたね、大丈夫?」
「…少し、怖かったなぁ」
落ち着いたヒソカがaaaの髪を撫でる。
「ヒソカにも怖いものってあるんだね」
「ひどいなぁ。あるよ、ちゃんと」
aaaはヒソカの下ろされた髪をたくし上げた。
いつものような髪型になる。
「…aaa、大好き◆」
「…急に、何?」
愛するヒソカにそんなことを言われると、顔が綻んでしまう。
「ボクから離れないで?」
真面目に見つめられ、胸の鼓動は速くなるばかりだ。
「…うん。離れるわけないよ。私、ヒソカのこと愛してるから」
照れながらもそう言うaaa。
「ほんとかい?、約束してくれる?」
ヒソカがaaaの手を取って、小指と小指を絡み合わせた。
「当たり前!指切りげんまん!」
針千本飲ます、と歌って指を離した。
ヒソカは微笑んでいる。
「…ヒソカ?」
aaaがヒソカの顔を覗くと、ヒソカは目を細めて嬉しそうな表情だった。
「aaa、ありがと◆」
ヒソカはaaaの頬を撫でて、ゆっくりと顔を近付け、キスをした。
「愛してるよ◆」
ちゅっちゅっ、と何度も甘く可愛いキスをするヒソカ。
「aaa…」
ヒソカの小さな呼びかけに応えるようにヒソカの唇に自分のそれを重ね合わせた。
ヒソカがaaaの腰に腕を回して抱き寄せた。
苦しいくらいの抱擁だったけれど、aaaは甘んじてそれを受け入れた。
愛は苦しいものだと勝手に思い込むことにして。

「…ご飯、食べようか」
ヒソカがベッドを軋ませて下りるとリビングに向かった。
「ヒソカ!」
ヒソカの背に声をかけた。
ヒソカが歩みを止める。
「…一人じゃないよ」
aaaが優しく微笑んだ。
「…うん◆」
それだけ返事をして、ヒソカはリビングに行ってしまった。
微かに残るヒソカの香りを感じながら、aaaはヒソカを追いかけた。



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