hate

※aaa:パクノダ大好き

本当に愛しているものを嫌いになってしまったら、もう二度と好きにはなれないから。

「ヒソカなんか大っ嫌い!」
パン、と渇いた音が部屋に響いた。
「…」
ヒソカがaaaを冷たい目で睨んでいるも、殺気は放たれていない。
「ヒソカなんか嫌いだよ…」
aaaは涙を溜めて、二度目の告白をした。
ヒソカは無言でaaaに手を伸ばすが、aaaは退いて避けたせいで掠りもしなかった。
aaaは踵を返すと、部屋から出ていってしまった。
「……aaa」
赤くなった頬を、ヒソカは優しく撫でた。
少し、熱い。

「パクノダ、今からそっち行っていい?」
街中を歩くaaaはケータイでパクノダに電話をしていた。
電話越しにパクノダが「OK」と返事をする。
aaaはすぐさまパクノダがいるところへと足を進めた。

旅団のアジトの廃墟ビルになんの断りもなく入る。
そして奥に進むと向こうに誰かがいて、aaaが目を凝らすと、それはシャルナークだった。
「パクノダはこっちにいるよ」
そう指差した先には一つのドアがあった。
aaaはシャルナークに「ありがとう」と言って、部屋に入っていった。
明るい照明に、こたつ。
目の前の光景は、廃墟ビルとは思えない。
部屋にはパクノダがいた。
「座って」
こたつに入ったパクノダが言った。
「うん…」
aaaはそれに従い、こたつに入った。

「今日はどうしたの?」
パクノダがみかんを剥く。
「ヒソカが…」
話そうとして、唇が震えた。
「無理に話そうとしなくていい。なんとなくわかるから」
パクノダがこたつの上にあるみかんを取って、みかんを剥きながら言った。
「…ごめん」
パクノダが差し出したみかんをもらうと、aaaは優しく剥いてみかんを口に含んだ。
「…ヒソカがね、ケガして帰ってきたの」
aaaは涙ながらに口を開いた。
「…いつものことじゃない」
「そう、なんだけど……、私はイヤなの。いつか、ヒソカが壊れちゃうみたいで、怖い…」
aaaはこたつ布団ごと膝を抱いた。
こたつ布団が、涙で濡れた。
「……大丈夫。あいつ、そんな簡単に死んだりしない」
パクノダはぱくりとみかんを頬張った。
「……知ってる」
aaaは涙を拭った。
「…ヒソカのそういうとこ、好きじゃない」
「ケガするところ?」
「うん」
aaaが仰向けに寝転がった。
パクノダがそれを一瞥する。
「本当に愛してるものを嫌いになったら、二度と好きにはなれないんだよ。私…ヒソカのこと嫌いになりたくない…」
手を額に当てて目を瞑った。
「ヒソカ…」
aaaは大きく深呼吸をして、眠りについた。

一時間後、起きたaaaはパクノダに別れを告げて、廃墟ビルを後にした。
瓦礫が並ぶ道を歩いていると、向こう側に見たことのある影が近付いてきた。
「迎えに来たよ◆」
「……ヒソカ」
「おかえり◆」
aaaはヒソカに抱き着いた。
「甘えん坊だね」
「ヒソカ…嫌いにならないで。嫌いになりたくない……だから、」
「ボクはどんなことがあってもaaaのことが好きだよ◆」
ヒソカのたくましい腕がaaaを抱きしめた。
「だからaaaもボクのこと嫌いにならないでよ」
「ケガしないって約束したらね…」
「ちゃっかりしてるなぁ。でもそれはムリ」
にっこりと微笑んだヒソカ。
aaaはヒソカの頬を優しく包むように手を添えてキスをした。
「…だいすき」
aaa以外誰にも向けない微笑みを向けたヒソカは、ぺろりと舌なめずりをした。
「ボクも愛してる◆」

好き、嫌い、――好き。



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