変な趣味

「陵刀先生…」
「何?」
aaaは昔、ある病気にかかっていて、ある時その病気が悪化して倒れているところを陵刀司に助けられ、陵刀に憧れ獣医師になった。
獣医師として陵刀に扱かれながら、互いに想い合い愛を育み、なんとか陵刀の父に認められ、婚約者にまでこぎつけたaaa。
aaaは陵刀を愛していたし、陵刀も愛してくれていた。
それは、とても嬉しいことだったのだが、一つ問題があった。
「陵刀先生!まっまたっ、そんな、え…えっちな本読んでないで患畜を診てください!」
ばん、と陵刀のデスクを叩いたaaaが凄んだ。
「ねぇ、aaaちゃん…、先生っていうのもイイけど、やっぱり名前がいいなぁ」
ぱたん、と読んでいた本を閉じて、陵刀はaaaの手を引いて、耳元で囁いた。
「だ…っめです!仕事中!です!!」
顔を真っ赤にさせながら、aaaはかぶりを振った。
「えー…じゃあ、aaaちゃんが僕のこと名前で呼んでくれたら仕事するよ」
にっこりと微笑んだ陵刀の笑顔に、aaaは、うっと小さく唸った。
あの笑顔には裏がある、絶対に。
しかし、仕事をするよう説得してくれと美坂や院長直々に言われてしまったaaaには言うという選択しかなく、仕方ないけれど覚悟を決めた。
「つ、司…」
「aaaちゃん!!」
陵刀は叫びながら、デスクを飛び越えaaaを抱きしめた。
「うひゃあ!」
aaaは突然の抱擁に陵刀を押すけれど、がっちりとホールドされて抵抗もままならない。
「司ー、こんなとこでっ、やだー!」
「なんで?こういうところでやったら案外燃えるかもよ?」
陵刀はaaaの耳たぶを甘噛みして、ふぅっと息を吹きかけた。
ぞくぞくとaaaの体が震える。
「やっあ…!」
「そんなふうにされたら、ほんとしたくなっちゃうんだけど。ほら、これなんかどう?」
ぴらりとデスクに置いていたエロ本を開くと、陵刀はそれに指差した。
「やだ…!」
陵刀が好きそうな縛られた裸の女。
局部が晒された女性はヒモでいやらしいポーズをしている。
「司ぁ…」
「aaaちゃん、可愛いなぁ」
涙目のaaaをぎゅっと抱きしめた。
「大好き、今夜は寝かさないよ」
陵刀はaaaの唇に熱いキスを送って、aaaの頭を撫でた。
「司…、約束通り、仕事して!」
「うん。aaaもおいで」
くい、とaaaの腕を引いて、陵刀は診察室へと向かった。

「鳥が食べた物吐くんですー!」
オウムを抱えた飼い主が泣いて陵刀に縋り付いた。
「…発情吐出だね」
陵刀は少しオウムを見た後、ばっさりとそう言い放った。
「冷たくするのも飼い主の勤めだから…」
そう飼い主に説明する陵刀を近くで見つめるaaa。
「発情、ね…」
「僕みたいだって…?」
飼い主が診察室から去った後、aaaが小さく呟いていると、後ろから陵刀がゆらりと現れた。
「うわぁ!…言ってない!!」
「へぇー…、ほんとに?」
「うんうん!」
何度も頷いたaaaに、陵刀が疑いの目を向けるが、すぐにはぁっと息を吐いた。
「ま、ウソだったら今夜はホントに寝かさないけどね」
チュッと陵刀は投げキッスをすると、にっこりと笑った。

陵刀の一つの問題とは、変態趣味だった。
――きっと今夜も眠れない。



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