真夜中の宴

「わぁ…はじめまして…」
「はじめましてー…ヨホホホ!」
私、aaaは、17年間生きてきて、ガイコツと話すのは初めてです。

真夜中、さすがのサンジも仕込みを終えて寝てしまい、キッチンの電気は消えている。
そんな中、今日の見張り番のナミと話をして、そして女部屋へ寝に返る最中のaaaの耳に、船からどこからともなく聞こえてくる音が聞こえた。
「不気味ー…」
そう呟きながら、aaaは船内を散策し、音の大きくなる方へと足を進め、アクアリウムバーの扉を開くと、そこにはバイオリンを弾く長身のガイコツがいた。
「うわぁ!ガイコツだぁ!!」
正体が誰かわかっていたけれど、真夜中に見るブルックは不気味で恐ろしい。
aaaは心臓が飛び出るくらいに驚いた。
「あ、aaaさん…、パンツ、見せにきたんですか…?」
「んなわけない!」
ボコッ、とブルックの顔面を殴ったaaa。
「よ、ヨホホ…」
「…ブルックは何してたの?」
ブルックにそう尋ねた。
「あぁ、はい、作曲を…。ルフィさんが何度も新しい曲は出来たか、と聞いてきたので…」
「へぇー…音楽家は大変だねぇ…」
ソファに腰を下ろすと、ブルックが書いた楽譜を見た。
おたまじゃくしがいっぱいいる。
「…あなたも音楽家でしょう、aaaさん」
「……歌うの専門の、ね。あ、でもピアノも一応弾けるけど」
ブルックの書いた曲を口ずさむaaa。
ブルックもソファに座り、aaaの持つ楽譜を覗き込んだ。
「歌詞はまだないんだ?…じゃあ、ヨホホホーで歌ってみようか?」
わざとらしく笑い、aaaは楽譜通りに音楽を奏でていく。
「いいですね…!」
それにのって、ブルックはバイオリンを弾き始めた。
アクアリウムバーいっぱいに広がる音に気付かず、ブルックとaaaは歌う。
いつの間にかその音は部屋から漏れ出て、クルーの耳に届いていた。

「もうっ、なんの音よ!」
いち早く気付いたナミが、アクアリウムバーに駆け付けた。
そのあとから、続々とクルーたちがやって来た。
「ナミさーん…なんの音ですか…?」
あくびをするサンジ。
「腹ァ減ったー…」
腹を鳴らせるルフィ。
その後列に、フランキーとロビンと、とクルーたちが勢揃いしていた。
「…」
ナミがアクアリウムバーのドアの小窓から中を見ているのに気が付いたサンジは、どうしたんですか、と声をかけた。
「…楽しそうにしてるなぁ、って思ったのよ」
笑いながら踊りながら弾いて歌うブルックとaaa。
それを見たナミは、溜息を吐きながら笑っていた。
「なにィ、おれも混ぜろ!」
ルフィは腕まくりをするポーズを決めて、アクアリウムバーのドアを開いた。
「ヨホ?ルフィさんなんで…」
「あれ?ルフィ?」
「おれも歌うぞ!」
ぷんぷん、と怒るルフィが楽譜を見るけれど、何度も首を傾げている。
aaaはブルックと目を合わせて、スゥ、と同時に息を吸った。
「ルフィ、こうだよ!」
バイオリンの音色が聞こえ、それに続いてaaaが歌い始めた。
歌詞はないから、もちろん、ヨホホホ、と歌っている。
「よっし!!」
ルフィもaaaに続いて歌い、アクアリウムバー前で立ち尽くしていたクルーたちの一人のチョッパーが歌う。
「ヨホホホー!」
皆の声が合わさった時、真夜中の宴が始まる――。




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