キスはチョコ味

「ゾロー!」
今日は特別な日です。

「あー…?」
寝ていたのか、ゾロは欠伸をすると、aaaの方を見た。
「どした」
目の前に立っていたaaaの腕を、ゾロは引っ張り膝の上に乗せた。
「ねぇ、ゾロ」
「あん?」
「今日、何の日か知ってる?」
にこ、と笑ったaaa。
ゾロは筋肉しかない頭で考えるが、何も思いつかない。
「さぁなァ」
aaaの腰に腕を回して、aaaの抱き心地を確かめる。
「えー…知らないの?」
「知らねェよ」
くあ、ともう一度欠伸をするとaaaが膝から離れた。
「おい、どこに…」
「ちょっとキッチンに」
aaaはウィンクをしてキッチンに消えて入ってしまった。
三時前のこの時間帯、キッチンはサンジ一人、おやつを作っているはず。
「何してんだ…」
ゾロは睨むように、キッチンの扉を眺めていた。

一方、キッチンにて。
「サンジっ、あれ、ちょうだい!」
「んー、ちょっと待って…。ていうか、そろそろ三時のおやつだよ?」
「だいじょーぶ!ちゃんとおやつも食べるから。ね!」
aaaがサンジにあるものをねだっていた。
「しょーがねぇプリンセスだなァ」
はぁ、と溜息を吐いたサンジに「ごめん」と謝りながら、aaaは苦笑いをした。
「あ!あと、今日の夜は宴だから、おやつもおかわりはナシだよ」
「はーい!」
aaaはあるものを受け取ると、キッチンから飛び出した。
そのままaaaはゾロのもとに走り寄ると、腰を下ろした。

十分も経たずキッチンから出てきたaaaに安堵したゾロ。
「で?」
「うん、これだよ!」
aaaが見せ付けたのはおかしの箱。
パッケージには堂々と「ポッキー」と書いてある。
「だからなんだ?」
意図がわからず疑問符を浮かべると、aaaはポッキーを一本取り出した。
「今日は!ポッキーの日だよ!」
「へー…」
心底どうでもいい日だったようだ。
ゾロはまぶたを閉じかけると、aaaがゾロの頭を叩いた。
「ッてぇな!なんだよ!」
頭を押さえながらaaaを見る。
「ポッキーゲームしよ」
「ハァ?ポッキー…ゲー…?」
「ポッキーゲーム!ポッキーの両端をくわえて、どこまで折らずに食べれるか勝負っていう…。折ったら負けなの」
ぱくぱくとポッキーを食べながら説明するaaa。
「それのどこが面白ェんだ?」
「う…っ!!いいからいいから!やろ!」
無理矢理ゾロの口にポッキーを突っ込み、aaaはそのポッキーをくわえた。

二人は恋人だけれど、aaaはいつもキスする時は目をつむっているから、この距離というのは恥ずかしかった。
顔を赤くしながら、ゆっくりとポッキーを食べていく。
しかし、ゾロはaaaのスピードを気にせず、ポッキーの三分の一を食していた。
(速…ッ!!)
ぽりぽりとポッキーを食べていく、鼻が当たりそうになった。
初めてしたキスみたいで、なんだか恥ずかしい。
ゾロが顔をずらして、それでもポッキーを食べていく。
だんだんと近付き唇が触れそうになった。
小さく短くなったポッキーが、折れた。
「ゾロ…、誕生日おめでとう」
そう言って、aaaはポッキーを素早く噛んで飲み込み、ゾロにキスをした。

ゾロとのキスは甘い甘いチョコレートの味がした。

「……覚えてたのか」
唇を離して、ゾロは舌なめずりをしながら、そう言った。
「当たり前」
「チッ。覚えてなかったらあんなことやこんなことをするつもりだったのによ」
「あんなことやこんなことって何!?」
身震いしながら、aaaは自分の肩を抱いた。
「そりゃー…」
「言わなくともわかるからいいよ!」
「へぇ…?どんなことだ、言ってみろ」
ゾロはaaaに抱き着きながら、囁いた。
「……言えないよ」
「昼間っからンなこと考えてんじゃねぇよ」
「ゾロだってー…!」
ゾロはaaaの唇、そして首や鎖骨にキスをしながら、にやりと笑った。
「仕方ねェだろ、おれはaaaのこと愛してンだからな」
「私も愛してるもん…!」
ちゅ、と唇が重なり、甘い音が鳴ったキス。
抱き合っている二人を、太陽が見つめていた。


〇おまけ
「白昼堂々何やってんだマリモンは…」
「いいじゃない、今日くらい。ほらサンジくんは宴の準備を」
「はい!ナミさん!」
承知しましたァ、と叫んで、サンジはメインディッシュに取り掛かった。
「ウソップ、あんたは飾り付け!」
「へーへー」
動き回るウソップとチョッパー。
ルフィは相変わらず寝ていた。


〇Happy Birthday Zoro!



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