surface

「サンジくん、楽しくない?」
「え?なんで?、そんなことないけど」
にっこりと笑ったサンジは、どこか、悲しそうな、そんな顔をしていた。

最近、aaaはサンジの笑顔を観察している。
なにか、サンジの笑顔に違和感があるのだ。
aaaはそれを知るためサンジを見ているが、なにもわからないのが事実だった。
仕方なく、単刀直入に聞いてみることにした。
「サンジくん」
aaaは、キッチンのダイニングテーブルに座っていた。
「うん?」
料理をして、楽しいんだろう、笑みを浮かべるサンジに声をかけた。
「楽しい?」
「最近、何回も聞くね。クソ楽しいよ、おれは」
タンタン、と包丁で食材を切っていくサンジ。
「……ほんと?」
aaaが聞き直すと、ぴく、と少しだけサンジの体が反応した。
「なんで?」
「なんでって…、サンジくん笑ってるけど楽しそうじゃない気がする。…なにかあったの?」
aaaが首を傾げると、サンジが包丁をまな板に置いた。
「……おれね、好きな人がいるんだよ」
「え!」
サンジの驚きの告白。
aaaは目を真ん丸にしたまま、サンジを見つめている。
「おれは、どんなプリンセスにも優しくするけど、その子に勘違いされちゃいねぇか、内心ドキドキなんだよ」
苦笑いを浮かべるサンジ。
aaaは依然として固まったままだ。
「…プレイボーイだと思われてねぇかな、ってな」
サンジは付けていたエプロンを外し、イスにそのエプロンをかけると、aaaの正面のイスに座った。
「フェミニストのおれと、好きな人を想ってるおれの、矛盾した想いが現れてんのかな」
笑顔に、と軽く笑うサンジ。
しかしaaaは笑っていられない。
(サンジくんに好きな人がいるってどういうこと…?、告白する前からフラれた……)
サンジを前々から好きだったaaaは、サンジの好きな人がいる発言でパニックになっていた。
「あとは…、好きな人と話してると緊張したりするからかな」
肘をついてaaaを見るサンジの視線に気にもしないaaa。
もはや、そんなことに気を配っていられない。
(だ、誰…!?、サンジくんが緊張する相手って……もしかして、ろ、ロビンさんとか…!?、あぁ、だめだ負けた…)
勝手に予想して勝手にヘコむaaa。
「今も、クソ緊張してんだぜ」
サンジはそう言って、たばこを吸い始めた。
(今も緊張…い…今も?)
aaaは慌ててキッチン内を見渡した。
aaaとサンジ以外には、誰もいない。
「………そう、aaaちゃんだよ。おれの好きな人」
心が読めるのか、たばこの煙を吐いたサンジが言った。
「……………………ほんと?」
長い間を置いて、aaaはサンジを見た。
サンジは灰皿にたばこを押し付けている。
「…なんで私なの?、私なんかより、ナミさんやロビンさんの方がいっぱいしゃべって…」
「そう、だから不安だったんだよ」
つう、とaaaの頬に触れたサンジの柔らかな指。
「プレイボーイじゃないか、ってね」
ウィンクしてみせたサンジを見た瞬間、aaaの体に熱が沸いて来た。
「……少し、思ってた」
「…やっぱり?」
ふは、と堪えていた笑いを吐き出すかのように笑顔になったサンジ。
何かを遠慮したような、悲しいような、そんな感情はひとつも感じられず、心の底から笑うサンジに、aaaも自然と微笑んでいた。
「サンジくん、大好きだよ…!」
「おれは、愛してる」
重なる影。

surface、表面上の笑み。



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