trick

今日はハロウィンです。

「トリックオアトリート!」
街中から聞こえてくるそんな声に、NEXTでヒーロー(女なのにヒーローというのかはわからないけれど)であるaaaは振り回されていた。

「トリックオアトリート!」
「え…っ、パオリンちゃん?」
「トリックオアトリートーっ!!」
手をぐいぐい差し出し、おかしを求めるポーズをするパオリン。
中国にもハロウィンはあるのか、だとかいう疑問を一掃して、aaaはポケットから飴玉を出して、パオリンの手の平に置いた。
「わーい、ありがとー!!」
満面の笑みを浮かべ、パオリンがぴょこぴょこと跳ねるのを見ながら、aaaは笑いながら。
「トリックオアトリート!」
と言った。
「待ってよー…、はいっ」
ハロウィン仕様の袋に包まれたチョコを渡したパオリン。
「ありがと、パオリンちゃん」
手を振って、aaaはある人のもとへ向かう。

「あ、アントニオさん」
「よお、aaa」
もふもふした服を着ているアントニオに会った。
aaaはそのふわふわに触り、そして今日だけのマニュアル台詞を言った。
「トリックオアトリート」
「またかぁ?」
「ハハ…、私以外に誰に言われたんですか?」
呆れて溜息を吐くアントニオに、笑うaaa。
「キッドやブルーローズがなぁ。…あ、ネイサンもか」
ネイサンにはあげてないけどな、と苦笑いしながらアントニオが言う。
「あー…あの人たちしてそうですもんねー」
「ほれ」
ぽい、とアントニオが投げて寄越したのはパンプキンの絵が描かれたチョコ。
「……これ、パオリンちゃんのじゃないですかー!!」
パオリンがくれたものと同じチョコ。
「今、手持ち、これとブルーローズのしかなくってな…」
「だからってダメー!!返します!……そのかわり、わかりますよね?」
にやり、と笑ったaaaは、アントニオの脇腹をくすぐった。
「こら、やめろって!怒られても知らねぇぞ!」
ひーひーと笑いながら、aaaの手を掴んで止めたアントニオ。
「でも今日ハロウィンだし許してくれるかも…」
「そうだったとしてもだな、恋人がほかの男とイチャついてたら嫌に決まってる」
アントニオは踵を返してどこかに行ってしまった。
「…まぁ、確かにね」
あの人がほかの女の人とイチャついてたら泣くなぁ、と思いながら、aaaは走った。

「aaa!」
「あ!カリーナ!」
ぱたぱたと走っていると、ブルーローズのカリーナに出会った。
「トリックオアトリート」
す、と手を差し延べたカリーナに、ぽい、とパンプキン仕様の飴玉をあげた。
「トリックオアトリートー!」
カリーナに襲い掛かろうとすると、頬にクッキーを押し付けられた。
「どうぞ」
「わーい!」
クッキーをポケットに放り込み、aaaはカリーナと別れて、また走った。

「虎徹!」
「お、aaaじゃねぇか。どした?」
にまにまと笑う虎徹。
「トリックオアトリート!」
虎徹に抱き着くと、虎徹は抱きしめ返してくれた。
「悪ぃな、おかし、持ってねぇや」
ごめんな、と困ったように笑う虎徹に、aaaは馬鹿だ、と思った。
カリーナと会った時に、カリーナは嬉しそうに笑っていたし、アントニオのジャケットのポケットにおかしがいくつかあったのをいたずらした時にわかったから、多分、虎徹はおかしを持ってることになる。
つまり、虎徹は嘘を吐いている。
「…だから、よ」
す、と両手を広げてaaaを抱きすくめた。
「いたずら、だな」
「…うん」
虎徹の服に手をかけたaaaは、虎徹にキスをした。
「aaa、愛してるぜ」
ぺろりと耳を舐めた虎徹。
よくわからない痺れが、体を支配した。




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