恋の実り

※学パロ


好き、です。

「えっと、ラーメンで…」
「ラジャー」
と言って笑ったのは学食で働いているサッチだった。
aaaはラーメンを受け取ると、空いている席に座った。
つるつるとメンを頬張ると、aaaはサッチを見つめた。
忙しく働いているサッチは、女生徒に会うたびに声をかけている。
大概の女生徒はサッチの明るい性格と背格好に黄色い声になっているように、aaaには見えた。
「…んっ」
最後の一口を飲み込むと、aaaはカラになった器を運んだ。
「おいしかった、です」
そう告げて返却口に器を返す。
「ありがとん!」
aaaの言葉を聞いたサッチが、笑った。
aaaは慌てて踵を返し、熱くなる顔を両手で押さえながら教室に戻った。

aaaはサッチに恋している。

「うわ、雨降ってる!」
五時間目が終わって、休み時間に外を見ると、ざあざあと雨が降っていた。
「あー…、雨降るって言ってたものね」
友人のナミが、外を見遣りながら言った。
「うそー!聞いてないよー!!」
うなだれるaaa。
「どうしよ…、傘持ってきてないよー。ナミー!!」
aaaがナミに抱き着いた。
「あ、ごめん。生徒会あるから」
「わーん!、ナミの裏切り者ー!!」
ナミを叩くと「痛いわね」と言われ、デコピンを食らった。

放課後、aaaは重たいかばんを持って靴箱に向かった。
「う…、まだ雨降ってる…」
それどころか、雨が強くなっている気がする。
靴箱と外を交互に見て溜息を吐く。
「…aaaちゃん?」
「え?」
聞いたことある声が、後ろからした。
aaaは勢いよく振り向くと、そこにはサッチがいた。
「…あ、こ、こんにちは」
「こんにちは。…aaaちゃんで合ってるよな?」
「え、はい。あの、なんで、名前、私言ってな…」
なんでこんなところにいるんだろうとか、なんで声をかけられたんだろうとかいう疑問が頭の中でぐるぐると回り、パニックになりながら言うと、サッチが笑う声がした。
「呼んでた。前に友達が」
「あ…、そう、ですか」
サッチに会えたという嬉しさに顔がニヤけてしまって、それを見られないよう俯く。
「傘ねぇの?」
「…はい」
小さく呟くと、す、と大きな手が差し延べられた。
これが、サッチの手。
「おれ車だからよ、送ってく」
「…は、」
頭をかきながら優しく笑ったサッチに、aaaは声が出なかった。

校舎から駐車場にある車まで、少し雨に降られながらaaaはサッチの助手席に乗った。
緊張して足がカタカタと震える。
チャンスは、今しかない。
「あの、サッチさん」
「んー?」
かばんに手を突っ込み、車のキーを探すサッチに、視線を合わせて。

「私、サッチさんのこと、好きです」

aaaは告白をした。
「……」
動きが止まったサッチ。
「…ごめんなさい」
「やべぇ、うれし…って、え?」
「へ?」
二人の間に妙な空気が流れた。
「……おれは、aaaのこと好きだけど」
照れて笑うサッチのリーゼントな髪が雨で乱れて大人の魅力をバッチリと出していて、思春期のaaaは顔を赤くすることしか出来なかった。
「……aaaは?」
「ずっと前から、好きでした」

初めて合わせた視線が、たまらなく愛おしい。
サッチの手がaaaの手を包み込み、熱が触れ合う。
冷えた二人の体が芯から温まっていく気がした。



prev next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -