愛おしい君

※二年後


「……サンジくん」
まだ女に馴れず、ナミを見ただけで鼻血を吹き出したサンジは甲板で横になっている。


つんつん、とサンジの額をつっつく。
「サンジくん」
ぷに、とサンジの左頬を人差し指でつっついた。
するとサンジの目がカッと開き、サンジが飛び起きた。
「ひゃあ!」
ゴンッ。
サンジの顔を覗き込んでいたaaaと、頭をぶつけた。
「…ってぇー……aaaちゃん!!大丈夫っ!?」
赤い額をさすりながら、サンジはaaaの額を撫でた。
「だ、大丈夫…」
はは、とaaaが笑うと、サンジはaaaの腰を抱き寄せた。
「ん?、どうしたのサンジくん」
「いや…いい匂いがすんなぁって、思って…」
サンジはaaaの頬にキスをすると、首や鎖骨に唇を寄せ、久しぶりの行為に想いを馳せていた。
「サンジ、くん…」
aaaは右手をサンジの背中に回し、左手で涙を拭った。
「えっ、aaaちゃん?」
サンジはキスを嫌がられたのかと思い、焦って飛びのこうとしたけれど、aaaに抱きしめられ、思い止まった。
「サンジくん、どこにも行かないで…」
がし、と強い力でサンジの腕を掴んだ手が震えている。
「…うん。もう、どこにも行かねェよ」
サンジはaaaを抱き寄せ、耳元でそう囁いた。

「なんで泣いたりしたんだい?」
びっくりした、と笑いながらaaaに問うサンジ。
「……二年振りで、サンジくんと一緒にいるんだなって思ったら、泣いちゃって…」
また涙を瞳に溜めるaaaの目尻を拭い、サンジはaaaの手の甲にキスをした。
「aaaちゃんは可愛いなァ、ほんと」
サンジは甲板の芝生に腰を下ろしたまま、aaaを足に跨がせた。
「…サンジくんはかっこいい」
サンジの、きらきらと光る髪を撫でながらaaaが微笑んだ。
「男らしくなったし、もう、かっこいいよ…」
aaaはサンジに抱き着くと、ひく、と泣き始めた。
サンジは無言でaaaの背中をぽんぽんと軽く叩いた。
「二年だよ…」
「長かったなァ」
サンジが仰ぐと、視界を海の青が一色に支配した。
「…会いたかった。早く、こうしたかった」
「うん…、おれもだよ、aaaちゃん」
サンジは視線をaaaに戻すと、顎をaaaの頭に乗せた。
「サンジくん…!」
「aaaちゃん、愛してる」

――愛しい。

「んむ、ふぅ」
熱烈なキスを仕掛けたのはサンジ。
それに一生懸命応えようとするのがaaa。
「はぁっ…」
唇を離すと、唾液が糸になって唇を繋いで離れた。
aaaの息は絶え絶えだ。
「…久しぶりだから?」
ふ、と笑うサンジに、aaaの顔が赤く染まる。
「そっそれはサンジくんもじゃん!それとも違う人としてたの!?」
aaaの言葉に、サンジの地獄の日々が脳裏に蘇る。
「それはねェ!!」
大声で否定するサンジに、aaaが怪訝そうな顔をした。
「あやしい」
aaaがサンジを睨んだ。
「なっ」
「なんでそんなに言う必要あるの。……やっぱり…」
目を潤ませるaaa。
「だァーッ!!それはねぇからほんとあのオカマヤローとキスなんて…」
「…オカマ?」
「あっ、いや、なんでもねぇよ!だけど本当、なんもねぇから!!信じてくれよ」
サンジはaaaの手を両手で握り、視線を合わせた。
「…信じていい?」
「…うん」
サンジは小さく頷き、今日二度目のキスを交わした。


〇おまけ
「あの二人は何!?甲板だってこと忘れてんの!?」
「いいじゃねぇかよぉ感動の再会くらい……ウーッ!泣けてくるぜ!」
「ふふ…、許してあげたら?」
「……仕方ないわね」



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