運命は交差している | ナノ
07

八月十七日、サンジ先輩と初デートです。

緊張してよく寝れなかったけれど、朝はちゃんと早くに起きて朝食を食べて、化粧はあまりしなかったけれど身嗜みにも気を配って、aaaは待ち合わせの三十分前に家を出た。
「…早かったかなー…いや、遅いって思われてたらどうしよう…」
ぶつぶつと呟きながら、aaaは待ち合わせ場所に向かう。
十分歩いて、到着して周りを見渡すと、街の人がひそひそと話をしていたので、視線の集まる方を見てみると、そこには店の壁に背をもたれてたばこを吸うサンジがいた。
その姿に、心拍数が上がったのは勘違いなんかじゃない。
「aaaちゃん!」
aaaに気が付いたサンジは壁にたばこを押し付けて無理矢理火を消すと、街頭のごみ箱にさりげなくたばこを入れてaaaに近寄った。
「お…遅れてごめんなさい」
ぺこ、と頭を下げると、サンジはaaaの頭に手を置いた。
「aaaちゃんは時間通りに来てる。ただ、ちょっとおれが楽しみすぎて三時間前に来ちまっただけで…」
「三時間!?ごめんなさい!」
「あ、いや、これは比喩っていうか……ほんとは一時間だから」
サンジがaaaの肩の抱くと、街を歩きはじめた。
「でも、一時間も待ったってことじゃ…」
「いんだよ。もう過ぎたことは!!さぁて、デートを楽しもうじゃねぇか」
に、と笑ったサンジ。
aaaは半袖、サンジはシャツの袖をまくっていたから、互いの熱が、直に伝わっているような気がした。

「…どこ行く?」
たいてい、ラブホテルかメジャーなデートスポットしか行かないサンジには、aaaが行きたいところなどわからない。
「私はどこでも、いいです」
適当に歩きながら、aaaがそう言った。
「……とりあえずゲーセン行くか」
視線の先にあったゲームセンターに入り、物色する。
「サンジ先輩」
くい、とaaaに裾を引っ張られ、指差されたUFOキャッチャーの中を見ると、そこにはブランド物のぬいぐるみがあった。
「…頑張ってみる」
ズボンのポケットから財布を取り出し、百円玉を入れた。
ボタンを操り、ぬいぐるみにまで到達し、ぬいぐるみは一時持ち上がるけれど、すぐに落ちてしまった。
「あ…っ」
惜しそうな、残念そうな顔をするaaaを横目で見て、サンジはまた百円玉を入れた。
願いを込めて、ボタンを長押しした。
ぬいぐるみはゆっくりと持ち上がり、ガコンと落ちてきた。
「すごい…取れた!」
「ほら」
拾い上げて、パンダのぬいぐるみをaaaの顔に押し付けた。
「サンジ先輩、ありがとう…!!」
「どういたしまして」
aaaの笑顔が、サンジにとっての報酬だった。
その後、サンジはお礼と言ってクレープを奢ってもらい、また街に繰り出し、aaaが欲しかった本も買った。
そうしている間にも時間は過ぎて、もう午後六時になる。

「もうこんな時間か」
まだ明るい空をしているのにそろそろ夜になる時間帯に、サンジは溜息を吐いた。
「今日は、すっごく楽しかったです」
aaaはサンジと向かい合って、微笑んだ。
「…あぁ、おれもだ。でも」
「…?、サンジ、先輩?」
サンジはaaaを抱きしめると、耳元に唇を寄せた。
「まだ、側にいてぇ。家に来ねぇ?」
意外な誘いと甘い声にaaaは体を震わせた。
顔は多分、真っ赤。
「…サンジ先輩が、いいなら」
「じゃあ、行くか」
くい、と手を引っ張られて、aaaはこけそうになりながら、サンジの家に向かった。


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