運命は交差している | ナノ
06

ある冬の日。

「なぁ、豪華客船一週間の旅っつーチケットもらってよォ、bbbさん行かねぇ?シャンクス教授とよ、早めの新婚旅行ってことで」
「え!?」
サンジからの電話が来たと思えば、そんな突拍子もないことを言われ、驚くしかない。
「えー…でもなんか悪いなー」
サンジに気を遣わせてしまった上に、豪華客船の旅という、一般人でまずすることがないだろう体験をすることになる。
そんなものに行くのに、躊躇わない一般人がいるだろうか。
「ね、ねぇ…シャンクス、あのね、サンジが――」
bbbがシャンクスに相談すると、シャンクスはbbbからスマホを取り上げると、勝手に電話に出た。
「あ、ちょっと」
「よォ、久しぶりだな!ありがたく受け取らせてもらうな!」
サラっと了承すると、電話を切ったシャンクスは、にまっと笑った。
「豪華客船かー!楽しみだな!!」
「な、何勝手に答えてるの!…サンジに悪いじゃん」
「好意は受け取るもんだ」
新婚旅行だ、とはしゃぐシャンクスに抱き着かれ、bbbは小さく声を上げた。

「うわぁ…、すご…!」
旅行の当日、豪華客船を見たbbbは開いた口が塞がらなかった。
なんて、大きいんだろうか。
「おー!!」
シャンクスは子供みたいに目を輝かせている。
bbbが港を見回すと、よくテレビで見る芸能人たちがたくさんいる。
こんなところにいてもいいんだろうか、と思っていると、見知った金髪を見つけた。
「aaaさん」
「よ、サンジ」
「シャンクス教授」
サンジとaaaに話しかけた二人。
「今日から一週間楽しもうじゃねーか」
「そうですね」
シャンクスがサンジに向かって笑った。
「いっぱい楽しんでくださいね」
「aaaさんもね」
bbbはaaaの背中を優しく叩いて、微笑んだ。
「じゃあ、おれ達は先行くな」
シャンクスはbbbを連れて、サンジに挨拶すると船に乗った。

その夜、立食パーティーが船上で行われた。
「知ってる人がいっぱい…」
ただし、テレビの中での話だが。
オレンジの髪のモデル、金髪の変な髪型の男二人に緑髪の俳優、カラフルな頭の芸能人が多い。
bbbは並ぶ豪華な食事を食べながら、がぶがぶと酒を飲むシャンクスを見た。
「シャンクス飲み過ぎ…」
シャンクスが酒豪だからか、周りの芸能人がひそひそと何かを話している。
bbbが注意しても、シャンクスは気にせずに酒を飲み、たくさんある肉や魚を食べていく。
「うめーな、これ!!bbbも食えよ」
ずい、とローストビーフを差し出したシャンクス。
「…いらない」
しかしbbbはそれを断る。
「どうした、bbb」
「んー…人酔いかな…」
bbbはふらついた足取りで部屋の隅に向かう。
シャンクスはグラスをウェイターに渡して、bbbに付き添った。

「あ…、しゃ…、シャンクスー!!」

部屋の隅から大声が聞こえて、シャンクスとbbbがその声の方向を見ると、そこには最近人気の俳優のルフィと側にサンジがいた。
「おー!!ルフィじゃねーか!」
駆け寄ってきたルフィを、シャンクスがばしばしと叩く。
「シャンクス…?」
この二人がどんな関係なのかまったく知らないしわからない。
サンジとaaaがこっちを見るが、bbbは慌てて首を横に振った。
「おう!お前ら紹介するな!」
シャンクスは豪快に笑いながら、ルフィとの関係を話した。

14年前の、あの事故で助けた子供がルフィらしい。

しかし、しかしbbbはもう一つ問題があった。
「シャンクスがモデルなんて知らなかったよ!」
半ば掴みかかるようにbbbはシャンクスに言った。
「いやぁ、いつ話そうか悩んでたんだ」
ワリーな、と謝るシャンクスは、話がしたいと急かすルフィと一緒にbbbを部屋に連れていった。

「それでな、おれ、モデルをやめたシャンクスの代わりにモデルになろーと思ってたらいつの間にか俳優やってたんだ!!」
「お前、アホだなー!」
シャンクスとルフィが話し合っているのを、bbbはシャンクスの隣で眺めていた。
ルフィとシャンクスの会話から推察するに、シャンクスは20年ほど前からモデルだったが、14年前の事故で腕を失ったのをきっかけに、勉強に熱意を注ぎ込むようになったようだ。
「だっはっは!」
シャンクスの大笑いに、はっと意識を戻したbbb。
「シャンクス、もう11時だよ…」
「おう!もうこんな時間か」
bbbがスマホで時間を確認すると、シャンクスに言った。
シャンクスはルフィに別れを告げ、ルフィは部屋を去っていった。

「…シャンクス、なんで話してくれなかったの」
モデルのこと、とbbbが問い詰める。
「昔のことだったし、知る必要もあんまねーなって思ってたら忘れてたんだよ」
シャンクスはグラスに大きめの氷を入れると、バーボンを注いだ。
「なにそれ!」
「…20年も前の話だしよ」
バーボンを一口飲むシャンクスに、bbbは呆れた表情をした。
「でも、私はシャンクスの全部を知りたいよ!」
「!……うれしいこと言ってくれるな」
シャンクスはbbbを抱き寄せると、顎をbbbの頭の上に乗せた。
「ちょっとヒゲ痛い!」
「我慢しろ」
ぐりぐりと顎で攻撃するシャンクス。

「…わりーな」
「反省してるなら、いい」



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