運命は交差している | ナノ
05

五月の中旬、二人は休みの日にバラティエに行くことになった。

「サーモンとバジルのテリーヌのお客様……って、bbbさんとシャンクス教授!?」
二人が頼んだ料理を運んだのはウェイターではなく、卒業してから会ってなかったサンジだった。
なんとタイミングがいいことだろう。
さりげなくウェイターに頼んでサンジを連れて来てもらう作戦は不要だったようだ。
「よ!」
「こんにちは、サンジ」
ふ、とサンジに笑いかけたbbb。
「久しぶりだなァ!あ、聞いてくれよ!おれ、」
「待って。……私たちから話したいの」
「そうだな、まずはおれたちから…」
サンジの言葉を制止して、二人用丸テーブルに座ったbbbは向かいの席のシャンクスと顔を見合わせた。
サンジが頭上にハテナを浮かべているのがわかり、シャンクスは笑った。
「おれとbbb、結婚することになった」
「……けっ…こん…………うおぉ!?結婚!?やべェ!そりゃめでたいな!サービスさせてくれ!!」
サンジはシャンクスの言葉に驚いて、首に手を置いた。
「ふふ、ありがと。でも悪いよー」
bbbは照れたように笑う。
「いいんだ!!おれが祝いてェ!ちょっと待ってろよ」
サンジは厨房に戻って行った。
「…いいやつだな」
「でしょ?」
メインディッシュの魚を頬張るシャンクスを見つめ、bbbは微笑みながら答えた。

「こちら、フォンダンフロマージュになります」
中からとろりとクリームが溶け出るチーズケーキで、バラティエでは人気ナンバー1のデザートだ。
「わあ!すごい!フロマージュ!」
喜ぶbbbと、それを見守るシャンクス。
「悪いな、サンジ」
「や、別に大丈夫、です」
シャンクスとは面識はあるが、あまりしゃべったことはない。
「bbbからお前のことは聞いてる。世話ンなったな!」
にやにや笑うシャンクスに、サンジは苦笑いをした。
「いや、そんな。てか、結婚って…早い、よな…?」
「実際、結婚って言っても、入籍はまだまだだから!」
入籍も結婚式もまだまだ、とbbbが言う。
「報告だけ、一応。サンジとは仲良くしてくれたし、いろいろ迷惑かけちゃったし、ね。…あ、サンジ。サンジは何の話…」
「あ!おれな、聞いてくれよ、モデルになったんだ!」

サンジはこのレストランでスカウトされて、モデルをやってるんだ、ゾロってモデルと一緒にすでに写真撮って、雑誌も発売されてるから見てくれ、と二人に話した。

「すごい!ロロノア・ゾロってプロのモデルだよ!」
すごいね、とbbb言うと、サンジが照れ笑いをした。
「そういえば、そいつ、cccってモデルと付き合ってるらしいぜ!噂だけどほぼ確実!」
「えっ!そうなの?彼女がいるんだ……。私もね、ネットの噂だけど、ゾロって、女の子にすぐ手出して来るんだって!彼女じゃ物足りないのかな…?千人斬りしてるとかいう噂もあったりするらしいし…」
「……へェ?」
硬派な人間っぽいのにね、とbbbに付け足して言った。
「まぁ、噂だから、ね」
「…そうだな」
サンジが少し曇った表情をしたように見えたが、すぐに明るいいつものサンジに戻り、見間違えだと思った。
「あ、aaaさん元気?」
「ん?あ、あぁ、前と変わらず元気だよ」
いろいろと世間話をしていると、ヘボイモだとか怒鳴るコックに呼ばれ、サンジがしぶしぶ厨房に戻って行った。
一時間ほど食事を楽しみ、bbbはサンジに別れを告げてシャンクスと店を出た。

「すごいね、サンジ。モデルだってさ」
家路につくbbbがシャンクスに言った。
「モデル、か…」
シャンクスはどこか遠くを見つめ、呟いた。
「…どうかしたの?」
「いや」
シャンクスはふるふると首を横に振った。
ふうん、とシャンクスの意味深な言動を深く考えず、bbbが街を見ていると、さっきまでコックをしていたはずのサンジが走っていくのが見えた気がした。
「サンジ?」
「bbb、本屋寄っていいか?」
「あ、うん」
シャンクスに握られた手を引っ張られ、サンジらしき人物の背中からシャンクスに視線を移し、bbbは本屋に向かった。


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