運命は交差している | ナノ
26

五日目。

「ほんとにプールがある…!!」
しかも船内の温水プールは広かった。
「おおー…」
aaaとcccが脱衣所の出入り口で感嘆の声を上げた。
「すっごいねー。あ、ゾロだ、ゾロー!」
cccはすでに着替えていたサンジとゾロに走った。
aaaもサンジのもとに駆け寄る。
水着姿のサンジは引き締まった体をさらけ出していた。
なんてかっこいいんだろう。
「サンジくん…水着、似合ってるよ…」
「aaaちゃんもクソ似合ってる」
お互い照れてそれ以上の言葉が出ない。

「話してないで入ろうよ!」

「わ!」
「うおっ」
cccの声に驚いた二人は、言われた通りプールに入った。

「ゾロさんも素敵ですね」
aaaが水着のゾロに声をかけた。
ゾロもサンジと同様に鍛え上げられた腹筋をさらし、プールにいた女性を虜にしている。
「あん?…お前もな」
「はは、cccさんの方がいいって思ってるくせにー」
「じゃあなんて言えばいいんだよ」
ゾロの突っ込みに、確かにと思いながらサンジを見ると、浮輪で泳ぐcccと何かしゃべっているようだ。
「サンジくんと仲いいなぁ…」
「…ンだよ、嫉妬か」
「違うもん!ゾロさんじゃあるまいし」
ふん、とそっぽを向いたaaa。
「ンだとコラ!」
ゾロがaaaに水をかけた。
「あっ、もう――」
「aaaちゃんに何しやがるマリモのくせにィイ!!」
aaaが水をかける前に、サンジがゾロに蹴りかかった。
「やりやがったな!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐゾロとサンジ。
「もう、止めなよ、バカみたいな!…サンジさんもごめんねー?」
cccが二人の間に割って入ると、サンジに謝った。
「いやいや、別にcccちゃんは悪くねェよ。……ん」
aaaがプールサイドでぼうっとしていたのに気が付いたサンジは水を掻き分け、aaaに歩み寄った。
「aaaちゃん、楽しんでるかい」
「えっ、うん、楽しいよ」
「…もしかして疲れてる?」
旅行五日目、疲れ始める頃かもしれないとサンジは考えた。
「いやいや、全然!…サンジくんは楽しそうだね?」
「そりゃあ、おれはaaaちゃんといればなんでも楽しく感じちまうんだ」
サンジはaaaの頬をくすぐった。
「……そっか」

「TPO考えろよ」

「うひゃ!」
「っ!!」
ゾロに後ろから声をかけられ、びくついたサンジとaaa。
周りを見ると、サンジとaaaをじろじろと見る人々。
「……あ、はは」
「うっせ、てめーに言われたくねー。aaaちゃん、あっち流れるプールみたいだ。行こ」
サンジは流れるプールがある方を指差し、aaaの手を引いた。
「…ゾロ、あたし達も行こ」
cccもゾロと一緒に二人の後を追った。

「流れるなァ…」
「んー…気持ちいいね」
大勢の人々と一緒に、プールを流れるaaaとサンジ。
「こうやってのんびりするのいいな」
「うん……ん…」
「どうかした?」
aaaの様子がおかしいといち早く気が付いたサンジ。
「いっぱい動いたからかな…お腹すいちゃって…」
「…さっきあった売店でアイスでも買ってくる。aaaちゃんはここにいて」
サンジはプールから上がると、aaaを置いて売店に行ってしまった。
「おい、待ておれも行く」
「ん?おぉ」
ゾロもサンジについて行った。
aaaとcccはプールから上がると、サンジとゾロの帰りを待った。

「お、ゾロとサンジさ…ん?」
「どうかしたんですか、cccさん……あ」
cccの視線の先に、サンジとゾロがいた。
が、その二人は二人の女性に囲まれていた。
「見たことない人だな…一般人もいるらしいし、一般人か…」
cccは冷静に状況把握をしていたが、aaaは気になってしょうがなかった。
何を話しているんだろう、とか、女の子に微笑まないで、とかそんなことしか考えられない。
「……サンジくん」

「なあ、君、おれ達と遊ばない?」

なんともありがちな台詞でナンパしてきた知らない男の人たち二人。
「えっ…あの、」
「あたし達、彼氏いるんで」
cccがピシャリと言ってのけるが、一人の男がcccがモデルのcccだと気が付いた。
「え、君cccちゃんでしょ。本物ちょー可愛いじゃん。スゲータイプなんだけど!!なぁ、一緒にあっちでご飯でも…」
男が、とても嫌そうな顔をしているcccの腰に手を回した。
「ほら、君も行こうよ。彼氏よりおれの方が…」
もう一人の男もaaaの手を掴んだ。
「や…っ」
嫌がるaaaに、にやりと口を歪めた男に忍び寄る影。

「おれの彼女になんか用か?」

サンジが男を蹴り飛ばして言った。
「サンジくん…!!」
「遅くなって悪ィ」
サンジはaaaを抱き寄せると、アイスを手渡した。
「げ、こいつモデルの…!」
「ぐはっ!」
ゾロがcccの腰を抱いていた男を殴った。
「く、そ…」
「やべぇ、行こうぜ」
男二人は小走りで退散した。
「…ありがとう、サンジくん」
aaaはサンジに微笑んだ。

少し疲れたので、プールサイドで休憩。
「アイスおいしい…」
「そりゃーよかった!」
ぱくぱくとアイスを食べるaaaを優しく見守るサンジ。
「あのね、サンジくん…」
「ン?」
aaaがすこし視線をずらすと、cccがゾロにアイスを食べられていたのが見えた。
「おれの彼女、って言われた時ね…すっごくドキドキしたの…」
一年以上付き合っていながら、時々実感がわかなくなるから、そういうことを言われると恋人なんだとわかってうれしい。
「はは、aaaちゃんはおれの彼女、だろ?」
「そうなんだけど…」
ほら、またドキドキしてきた。
「…だろ?」
サンジは顔を近付けると、aaaの口元に付いたアイスを舌で舐めとった。
aaaは顔を真っ赤にして、驚いた表情を隠せなかった。

「サンジくんのファンが…見てるよ…!!」
「いいじゃねぇか。ついでにaaaちゃん狙ってたやつに牽制」
「もう…!」


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