運命は交差している | ナノ
04

「サンジさん、地方ロケ初めてでしょ」
「うん」

ドラマ撮影で地方に来た、といってもそんなに都市から遠くないところだ。
「おーい、見ろよ魚がいるぞ!」
その辺の川に指差すルフィ。
「クソはしゃいでんな」
呆れた表情のサンジ。
「ルフィはいっつもあんな感じですよー」
cccはサンジにそう言った。
「へっ、子供だな」
「うん、そんなもん…、あ、ゾロ」
cccはゾロを見付けると、駆け寄った。
「今日はゾロとルフィがメインみたいだね」
「ん?あぁ…そうだな」
緑髪を一つに束ねたスタッフが他の役者に声をかけている。
そろそろ用意をしなければならないようだ。
「今日も頑張ろうね」
「あぁ」
ゾロがcccの頭をがしがしと撫でた。
乱暴だけど、愛が感じられて好きだ、これが。
cccはにやけながら楽屋に向かった。

「んー…aaaちゃん今何してるんだろ」
メイクを終えたcccはスマホでaaaにメールを打った。
「早く返ってこないかなー」
aaaの返事を待ちながら、cccは撮影現場に行った。

「お疲れ様でしたー」
撮影を終えたcccはすぐにスマホを確認した。
しかし、aaaの返事はまだだ。
aaaはすぐにメールを返すのに、今日は、撮影で3時間ほど経っているのにまだ返事がないなんて変だ。
何か用事があったんだろうか。
とりあえず、サンジに聞いてみようと思い、サンジの楽屋のドアを開けた。
サンジはルフィの質問責めに遭っていた。
「何してんの…?」
当然ドン引きのccc。
「なぁ、コックってほんとか!?おれ腹へってんだよ、メシ作ってくれよメシー!!」
サンジの胸倉を掴みながらルフィが叫ぶ。
サンジは心底嫌そうな顔をしている。
ゾロは興味なさそうに雑誌を読んでいる。
「ルフィ、そんなことしてたらサンジさんも作ろうにも作れないよ」
「お!cccじゃねーか」
ルフィはサンジから離れた。
「cccちゃん…、ありがと。どうかした?」
「あ、あのさ、aaaちゃんにメール送ったのに全然返ってこないんだけど…」
大丈夫かな、とサンジに言うと、サンジはすぐにスマホを取り出してaaaに電話し始めた。
「てめー…なんでaaaのメアド知ってんだよ」
「駄目なの?」
ゾロが怪訝そうな表情で問うのに、当たり前といった感じで返すccc。
「…aaaちゃん、あたしのすっごいタイプだったもん!!そりゃあメアドくらい教えてもらうよ!」
「おま…レズっ気があるとは思ってたが……てめーなぁ…」
かわいい、とcccがはしゃぐに、ゾロは溜息を吐いた。
ゾロが言う通り、cccは可愛い女の子に目がないのだ。
「別にいいじゃん!ゾロだってaaaのこと可愛いって思ってるくせにぃ」
うりうり、と肘でゾロを攻撃していると、電話を切ったサンジはゾロやccc、ルフィに目もくれず、楽屋を走って出ていってしまった。
「……aaaちゃんに何かあったのかな!?」
「どうだろうな」
ゾロは冷静に開け放たれたままの楽屋のドアを見つめていた。

何分かすると、すぐにサンジがチョッパーを連れて帰ってきた。
「サンジさん!aaaちゃんに何かあったんですか?」
「風邪みたいだから様子見に行ってくる!わりーな、朝には戻って来る!」
「待てよ、サンジー!」
外套をバサッと羽織り、サンジは颯爽とまた楽屋から出て行った。
今は夕方で、往復と滞在の時間を考えると、帰るのは朝方。
明日は早めの収録だから、少しでも疲れをとっておきたいところだろうに、そんなにもaaaが好きなのか。
cccはサンジの愛に感動していた。
「サンジさん、すてき…」
「そうか?…あっ、てめっ、何勝手におれのポテチ食ってんだ!」
ポテトチップスを食べるルフィにゾロが言った。

翌日の朝方。
「まだサンジさん帰ってこないの?」
そろそろ役者は準備を始めなければいけない時間だ。
「まだだな」
ゾロが着替えていると、楽屋のドア越しにサンジの「今帰りました」という声が聞こえた。
「サンジさん、おかえり。…お疲れ様」
「…うん。今からメイクしなきゃだな!」
サンジはシャツの袖を捲ると自分の楽屋に行った。
サンジの後ろをふらふらとついていくのはチョッパー。
「待ってくれ…」
車を運転したのはチョッパーで、チョッパーがいなければサンジは間に合わなかっただろう。
今回一番活躍したのはチョッパーだったのかもしれない。
cccはチョッパーを抱き上げると、楽屋のイスに寝かせた。
「お疲れ、チョッパー」
「うーん…」
チョッパーはすぐに眠りについた。

「さてっ、今日も撮影頑張ってこー!」
「あぁ」
「おー!」
cccの声に、ゾロとルフィが立ち上がった。
しかし、出番はまだだった。


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