運命は交差している | ナノ
03

「てめェ、何してやがる!」

ゾロがサンジを睨むと、すぐさまサンジはcccからどいた。
「てめェも何、押し倒されてんだよ!」
「押し倒されたわけじゃないし!」
ゾロは今にもcccを掴み掛かりそうな気迫だった。
「…aaaちゃん」
サンジが呟いて、なんだと思ってcccがサンジを見ると、そこには可愛い女の子がほろほろと涙を流しながら、呆然と立っていた。
もしかして、これがケンカ中だと言っていた彼女なんでは。
隣にいたゾロもaaaを痛ましいと思っているのか、顔をしかめている。
「サンジくん…何があったか…教えて?」
女の子がサンジに聞いたので、サンジとcccは交互にさっきあった事故を説明した。
「よかった……、浮気じゃなくて、よかったよ…」
「ごめん、aaaちゃん!浮気なんか絶対しねェよ!……二人で話そう?」
また泣き始めた女の子をサンジは一度強く抱きしめた後、応接室から女の子を連れて出て行った。

応接室から出る時、サンジがこちらに目配せしてきたから、ゾロと二人きりにさせてくれたのだろう。
「おい、ccc」
「……なに」
ゾロの無愛想な声に、cccも自然と機嫌が悪くなる。
「悪かった」
「!……うん」
ゾロの謝罪の言葉に、cccは怒っているものだと思っていたから驚いた。
「でもな、お前、男とメシなんか行くんじゃねェ!フランスパンのどこがいいんだ!」
cccが驚いているのも束の間、またゾロが怒りだし、cccは顔をしかめた。
「別にいいじゃん!友達なんだからご飯くらい行くよ!!」
「友達って…あっちはそう思ってねぇかもしれねーだろ!」
ゾロの覇気に怯まないくらい、cccはヒステリックに叫んだ。
「友達だよ!……あぁ、もう!ゾロってなんでいっつもそうなの!?なんでそんなこと言うの!」
cccが頭を抱えて俯くと、上の方からゾロの小さな声が聞こえた。
「…たら…すんだよ」
「……?」
「なんかされたらどうすんだよ!」
ゾロが観念したように大きな声で言った。
照れて背けたゾロの顔は真っ赤だ。
「……心配、してくれてたの?」
「たりめーだろ、彼女に手ェ出されたら敵わねー」
大きな手で自分の顔を隠すゾロに、cccが詰め寄る。
「ゾロ、あたし、うれしい…」
ただの束縛が愛に変わった気がした。
「好き、ゾロ…」
「ccc…、怒ってねぇのか?」
「…うん」
ゾロがそっとcccを抱きしめた。
何日ぶりにゾロと触れ合っただろう。
お互い芸能人ということもあり、会うことは極端に少なかった。
「…好きだ、ccc」
ゾロが囁き、cccに唇を寄せた。

「…ね、ゾロ。あの女の子って誰?」
「あん?……aaaのことか?グル眉の彼女」
「へぇ…」
aaaは可愛く端正な顔立ち女の子で、cccのタイプだった。
にや、と悪い笑みをcccが浮かべていると、部屋のドアが開いた。
「あら、お邪魔だったかしら?ごめんなさい。…ゾロ、マネージャーが来たわ。社長室に来て」
ロビンがドアから現れると、そう言ってすぐに出て行ってしまった。
「だってさ!」
「いってェ!」
cccはバチンとゾロの背中を叩くと、一緒に応接室を出た。

ゾロとサンジが社長室に行き、cccはサンジの彼女だろう女の子に目をやった。
「aaaさん、だっけ?」
「は、はい…」
「ゾロの何?」
あんまり人と仲良くなろうとしないゾロがaaaと一緒にいたということは、何か特別な仲なのだろう。
「知り合い…かな?」
頭を傾げながら言われても。
人見知りなのか、はたまた遠慮しているのか、aaaのおどおどした態度がまた可愛い。
二人は自己紹介を済ませ、ソファに座った。
aaaは一般人らしいが、こういう派手じゃない女の子もモデルやったらいいのに、とcccはふと思った。
「あんたの彼氏、押し倒しちゃってごめんねー?…ワザとじゃないのよ、ホント」
cccが苦笑いをすると、aaaは大丈夫ですと頭を横に振った。
「ねぇ、aaaさ、何歳?」
「え…?19です、けど…」
「じゃあ、あたしお姉さんだ。21だもん」
こんな友達が欲しかった、と思い、aaaに「友達になろう」と言うと、「よろしくお願いします」と頭を下げたaaa。
こんな可愛い友達ができるなんてうれしい。
cccは微笑みながらスマホを取り出した。
「メアド交換しよっか」
「あ、ごめん。今持ってないの…」
cccがaaaを見ると、aaaはかばん一つ持っていなかった。
しかし、aaaはスマホにメアド入力をしたので、メアドをゲット出来た。
「ありがと」
「ううん」
aaaは微笑みながらふるふると頭を振った。

10分後、まだ社長室から出てこないゾロとサンジ。
そういえば、aaaはサンジの彼女だと言う。
「サンジさんさ、かっこいいし絶対売れるよ。うちの彼氏はサンジさんの100倍かっこいいけど!」
彼に惚れている身だからか、サンジよりゾロの方がかっこよく見える。
「サンジくんの方がかっこいいよ!…サンジくんが売れる、か……そりゃあかっこいいし当たり前だよね」
aaaの反論を可愛いなんて思いながら、aaaの間違った捉え方を違うと指摘した。
「そういう話じゃない!芸能人の恋人は大変だってこと!さっきみたいなことが日常茶飯事よ!」
ゾロは束縛するタイプだけど、そういう人でなくとも、芸能人というステータスだけで障害がどれほどあるだろう。
マスコミ、先輩の嫌がらせ、事務所を解雇。
もっとひどいことだって世の中にはたくさんあり、cccは噂や、実際に体験したことがある。
だからこそ、もしaaaがそういう目に遭ったらと思うと放っておけなかった。
「え!そうなの!?や…やだな…」
「まぁ、愛があれば乗り越えられると思うけど!なんてね。何かあったらお姉さんに相談しなさい!」
ぽん、とaaaの肩を叩いたcccは、にっと笑った。

サンジとゾロがやっと社長室から出て来た。
サンジとaaaがイチャイチャするのを一瞥して、cccは目的だったaaaの連絡先も聞けたので帰ろうとすると、aaaがあたふたしながらゾロとcccを交互に見た。
まだゾロとケンカしてるの、aaaの目がそう語っていた。
勘違いしている、と気が付いたcccは、「マスコミがうざいから」と理由を言って、一人、サニー事務所を出て行った。


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