運命は交差している | ナノ
21

「くしゅん!」

十月になり、気温差のせいで風邪をひいてしまったaaaは大学を休んで、寝込んでいた。
「うぅ…」
ごほごほ、と何度も咳込むと、喉がとても痛い。
サンジは昨日からドラマの撮影で地方に行っていて、三日は帰ってこないそうだ。
弱った姿をさらし、サンジくんに心配をかけることがなくてよかった、そう思った。
aaaは布団を頭までかぶると、ぐっすりと寝ようとした。
すると、枕のすぐ側にあったケータイが鳴った。
「あ…cccさん…」
撮影場所の写真付きのメールがcccからやって来た。
aaaがメールを返そうとするも、体を少し動かすたびにだるさが増していく。
メールを打ち終わる前に、aaaは眠っていた。

誰もいない部屋に、ひとり。
さみしい、かなしい、むなしい。
だるくて死んでしまうんじゃないか、なんて、大袈裟だけど本気で考えてしまう。
誰もそばにいてくれないのが、こわい。

激しくなる音楽に目を覚ましたaaa。
この音はケータイの着信音だ。
aaaは誰か確認せずに電話に出た。
「aaaちゃんっ!」
「サンジ、くん…?」
電話の相手はサンジだった。
仕事中のはずなのに、なぜ。
「その声…、もしかして、風邪?」
「……うん」
隠しきれないと思ったaaaはすぐ観念した。
昨日、サンジを見送った時にはaaaの風邪は全然ひどくなかった。
それなのに、どうやって勘付いたのか、aaaは気になったが、喉が痛くて喋るのも億劫になる。
「aaaちゃん、大丈夫?…看病してやれねぇのが辛ェよ」
サンジが悲しそうな声色をする。
「サンジくん…会いたいよ…」
心配させたくないのに、迷惑をかけたくないのに、こんなこと言いたいわけじゃないのに。
ひとりなのが怖かった。
「っ!…aaaちゃん、少し寝た方がいいよ」
「……うん」
迷惑だったんだろう、サンジはそう言って電話を切ってしまった。
カーテン越しの夕方の少し赤い光りを感じながら、aaaは遠くなる意識に目を閉じた。

「ん…」
いい匂いがして目を覚ますと、そこにはエプロン姿のサンジがいた。
「あれ…?幻覚が…」
「幻覚じゃねぇよ、aaaちゃん」
ぎゅ、と手が握られて、やっと頭が覚醒した。
「サンジくん…!?」
「急に起きたら駄目だ、aaaちゃん」
サンジは、ちゅ、とaaaの額にキスをした。
「サンジくん、なんで……」
「会いたいなんて言われたら、来ざるを得ねぇよ」
ふ、とはにかんだサンジ。
「仕事は…?」
「aaaちゃんはそんなこと気にしなくていーの」
aaaが起き上がるのを手伝うサンジはそう言った。
「サンジー、これでいいかー?」
キッチンの方からチョッパーの声が聞こえた。
「あー、ちょっと待ってろー!!aaaちゃん、ちょっと待ってて」
サンジは寝室から出ると、チョッパーと一緒に一人用鍋を持って戻ってきた。
いい匂いの正体はきっとこれだ。
「aaa、大丈夫か?」
「うん。ありがとう、チョッパーくん」
aaaはおぼんを膝に載せ、レンゲで鍋に入ったお粥を掬う。
「サンジくん…ありがと…」
「…どういたしまして」
aaaはサンジの愛がいっぱい詰まったお粥をたらふく食べた。

空になった鍋をキッチンに持っていったサンジ。
チョッパーはaaaが横になるのを手伝っていた。
「チョッパーくん、ね、サンジくん……仕事大丈夫なの?」
「車とばせば朝の収録には間に合う距離なんだ!!時間がかかるからあんまりここにはいられないけど…」
「それなのにわざわざ…?」
チョッパーはaaaの額に水に濡らしたタオルを置いた。
「サンジが監督に頼み込んでたからな!すごい説得してたぞ」
ふぅ、と溜息を吐いたチョッパーに、aaaはごめんねと呟いた。
「……って、もうこんな時間じゃねーか!サンジー!!時間だぞー!!」
「うおっ!?もうか!?」
サンジはどたどたと音を立て、チョッパーの上着を持って寝室にやって来た。
サンジはエプロンではなく外套を着ていた。
「aaaちゃん、ごめん、もう行かなくちゃ…」
「うん、いってらっしゃい。頑張って」
「…うん」
チョッパーがいるのにも関わらず、サンジはaaaにキスをした。
「おれ、頑丈だから風邪うつらねーよ」
ちゅ、と額にもキスをして、サンジは手を振って颯爽と寝室を出て行った。
「それじゃあな!!安静にしろよー!」
チョッパーもほんのり頬を赤くしながら、寝室から去っていった。

「ありがと…サンジくん」
いい夢が見られそう、そう思いながらaaaは布団をかぶった。


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