運命は交差している | ナノ
04

あれから10年経った。
マルコと結婚したdddは、家庭を支えてくれとのマルコの頼みで、アラバスタを辞職し、専業主婦になった。

マルコの誘いでよく仕事を見学することが多くなったdddは、今日もマルコの仕事にお邪魔することになった。
dddはマルコの仕事先であるイブスタジオに向かった。
自動ドアを通り、手慣れた様子で楽屋に行こうとすると、スタッフ二人と女性が何か揉めているようだった。
女性は一般人のようで、理由はわからないが楽屋に行きたいらしいがスタッフに止められているらしい。
女性の困った表情に、dddは何かをしてあげたいと思った。
「すいません。私の友人なんです」
そう言うと、スタッフはすぐにどいてくれた。
よくマルコについて行くせいか、スタッフに顔が知れて、楽屋にも通してくれるのだ。
友人も通せるのは初めて知ったけれど。
女性に何の用事があるのか聞くと、サンジというモデルにスマホを届けたいそうだ。
彼女か何かだろうか。
dddはサンジの楽屋はわからないが、とりあえずマルコの楽屋に女性を案内した。
「マルコさん、サンジさんって方いませんか?」
「おう!dddじゃねーか!」
dddの問いに、マルコではなくサッチが答えた。
サッチも同じ仕事だったらしい。
「サンジはスタッフに呼ばれたよい」
マルコはイスに腰掛け、本を読んだまま答えた。
マルコとdddが話している間にサッチが女性に手を出そうとし、マルコに咎められていた。
「その女は誰だよい」
「サンジくんの彼女…です。aaaって言います…」
女性はaaaと言うらしく、dddの考えた通りサンジの恋人らしい。
しかしサンジは楽屋にはいないようで、dddはaaaを楽屋に入るよう言うと、aaaは何度も頷いた。

「私、dddって言います。マルコの妻です」
dddはaaaに自己紹介すると、マルコとサッチが続けて自己紹介をした。
「かわいいなァ!サンジにこんな可愛い彼女がいたなんてよーチクショー」
悔しがるサッチにマルコが「もう駄目だ」と鼻で笑った。
「サッチさんはいい人ですから、すぐ良い女性が現れますよ」
サッチをフォローするddd。
人柄がいいサッチはみんなに愛される人間なのだが、浮気性で、それだけが欠点なのだ。
「えー!?サッちゃんかっくいーからなー!」
より取り見取りかも、とはしゃぐサッチに、dddが微笑んでいると、楽屋のドアが勢いよく開いた。
サンジが戻ってきたのだ。
aaaはサンジにスマホを渡すと、もう帰ると言った。
「じゃあ私も帰りますね」
別のスタッフにまた何か言われてはいけないと、dddもaaaと帰ることにした。
サッチはごねたが、マルコの承諾を得たので、サンジを含めた三人に会釈すると、aaaと楽屋を出た。

楽屋からイブスタジオを出るまで声をかけられなかった二人は最寄り駅に向かっていた。
「あの、dddさん……。聞きたいことがあるんですけど…」
口を開いたのはaaa。
「……芸能人の恋人って大変ですか!?」
aaaの言葉に、dddはこれまであったことを思い出した。
サッチとの熱愛記事、他にも捏造記事があったし、記者に追われたこともあった。
「…そうですね。いろいろと私にもありました。…でもそれを乗り越えてこその恋人ですよ」
dddはaaaの肩を叩いた。
「……はい」
aaaには心の奥に強さがある、だからきっとサンジさんとうまくやっていけるだろう、dddはそう思った。
dddはaaaと別れた。
10年間の懐かしい思い出――目標を失い死んだようになったマルコ、ゴシップ記事、サッチ以外の有名モデルにナンパされたり、他にもたくさんある。
今では笑って話せるそれを思い出しながら、dddは電車に乗った。


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