運命は交差している | ナノ
01

「………マルコさん!すっ、す、……すきで、す!」
どもりまくった末の告白。
「……ありがとうよい」
自分の手を握ってくれたマルコが、優しく微笑んでいた。

高校二年生の秋、文化祭一日目。
生徒会に入っていたマルコは生徒会の仕事で、手作りクッキーを販売していた。
マルコの手作りと言われるクッキーを恥ずかしながら買い、食べながら、頭もいいのに料理も上手いなんて器用な人だと思った。
そして生徒会の仕事を終えたマルコが友人と一緒に休憩しているところを見つけたdddは、女の子を引き連れていないマルコなんて珍しいから今がチャンスと思って、二人の目の前に飛び出した。
「マルコさん!」
「…ddd?」
「dddじゃねーか」
校舎の壁にもたれ掛かり、座っていたマルコとサッチは姿を現したdddを見て目を丸くしていた。
同じクラスだったから、名前は知られていたようで、よかった。
dddはドキドキ胸を高鳴らせながら、口を開いた。
「あの!マルコさん!……クッキー、おいしかった……です」
こんなこと言いたいんじゃない。
「食べてくれたのかい?…そういえば買ってくれてたな。さんきゅ」
マルコの微笑みに、dddは顔を真っ赤にさせた。
マルコのクッキーはうまかった、と言いながら頷くサッチを尻目に、dddは覚悟を決めた。

「………マルコさん!すっ、す、……すきで、す!」
どもりまくった末の告白。

dddは俯いてこのあとどうしたらいいかと考えていると、マルコが立ち上がり、dddに近寄った。
「ありがとうよい」
マルコはdddの手を取ると、dddをじっと見据えた。
マルコの瞳は綺麗な青だった。
「…マルコさん?」
なんだこの展開、とテンパるddd。
「ん?付き合わねぇのかよい?」
「えっはい、よければお願いします…」
「dddと付き合えるなんて光栄だよい」
私こそ、と言いたかったが、マルコが突然抱擁をしてきたのでそれは敵わなかった。
dddは体を硬直させた。
「ddd…?」
「な…なんでもないです…。こういうの、は、初めてで…!」
マルコはdddから離れるとdddの頬をそっと撫でた。
「初めて、か」
にや、と笑ったマルコ。
dddが視界に入ったサッチを見ると、サッチは手と膝を地面について「なんでおれじゃないんだ…」と呟いていた。

校内放送で、文化祭の終わりを告げ、そして後片付けをしろという命令が下された。
「さて、行くか。…サッチ!」
「らじゃー」
マルコは心底やる気のないサッチを呼ぶと、dddを見た。
「それじゃあ、また今度な」
「あっ、はい!二人とも、後片付け……頑張ってください!」
dddの言葉に、マルコは手を振り、サッチは投げキッスをした。
dddは、いまだ早い鼓動をどうしようもできなかった。

2年の12月、そろそろアレを決める頃。
「マルコさん、進路ってどうしますか?」
「よい?」
先生に渡された進路の紙を書くマルコを見たdddは、あ、と声を上げた。
「私と同じです」
「ほんとかよい?」
マルコがdddの進路の紙を覗くと、同じ大学名が書かれていた。
「サッチさんはどこに…」
「んー?おれっちさぁ、勉強嫌いだから大学行かねーや」
「え…、じゃあどうするんです…?」
dddの問いに、サッチはかっこよくポーズを決めて胸ポケットから名刺を出した。
「モデル王に、おれはなる!」
名刺には大手のモデル、俳優の事務所の名前とスカウトマンだろう男の名前が書いてあった。
「すごい!すごいですね!スカウトされるなんて!!」
「安直…」
驚くdddと呆れ顔のマルコ。
全く正反対の反応をした二人。
「安直って!そんなことないですよ、サッチさんなら出来ますよ。かっこいいですし…」
「あーん、dddちゃん嬉しいこと言ってくれるぅ!」
サッチがさりげなくdddにぎゅっと抱きつくと、マルコがバチンとサッチの頭を叩いた。
「なれるもんならなってみろ!」
「なってやる!」
マルコとサッチの言い合いに、微笑みながら見守るddd。

それが現実になることを、まだdddたちは知らない。


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