運命は交差している | ナノ
01

出会いはモデルの仕事だった。
馬が合い、趣味も似ていた。
同じマンガを読んだり映画を観たりする。
自然と友人から恋人になった。

「いやー、面白かったー」
たまのオフに二人で映画を観る、これがゾロとcccの中で決まっていた。
「ん、」
「あ、ありがとー」
ゾロが淹れてくれたコーヒーを飲む。
「映画ってやっぱいいね」
「あぁ」
ゾロはソファに腰を下ろすと、cccの肩に腕を回した。
「ccc、好きだ」
「ん?…うん、あたしもだよ」
「お前はおれのもんだ…」
ゾロはcccの唇にキスをすると、ソファに押し倒した。

五月上旬。
「よ、ccc!」
「あ、サッチさん」
同じモデル仲間のサッチ。
モビー・ディック事務所で、サウザンド・サニー事務所のcccとは違う事務所だが、よくしてくれる優しい兄的存在だ。
「なぁ、今日メシ食いに行かね?」
「あ、いいよー」
へらへら笑うサッチに返事をすると、すごい嬉しそうにはしゃいでいた。
「そんなに喜ぶことじゃなくない?」
「いや、最近女の子とメシ行ったりすることなくてよー。いっつもムサイおっさんとばっか!」
「それってマルコさんのことでしょ!」
サッチの高校からの友人だというモデルのマルコ。
サッチとマルコは37歳らしいが、20年以上の付き合いだという。
「いや、ただのおっさんだよ」
「じゃあサッチさんもおっさんになるよー?」
「えっ、じゃあかっこいいおにーさんって言わないと!」
サッチは慌てて言い直した。
「はは!」
cccは別にしなくてもいいとは思ったのだが、恋人のゾロにサッチと一緒にご飯を食べに行くというメールをした。
「…なぁ、何食いに行く?」
「ラーメン!」
「おっまえ、ラーメン好きだなぁ!」
サッチと仲良くご飯を食べに行った、それがいけなかったのか。

「てめーはまだあいつと仲良くしてやがったのか」
夜、ゾロから急に電話がかかってきたと思ったら、こんなことを言われた。
「ハァ?なんのこと?」
「サッチってやつだよ!てめーはなんでおれ以外の男とメシなんか行くんだ!」
ゾロの異常な怒り方に、cccの方もイライラしてくる。
「ご飯くらいいいじゃん!サッチとかルフィとかとも行くけどナミとも行くよ!女も男も変わんないよ!!」
「変わるに決まってるだろ!男なんだぞ!!」
怒鳴り声が耳について、cccは思わず「あぁもう…!」と言ってしまった。
「てめェ、反省してんのか!」
「う…るっさいなぁ!あたしが何しようと勝手でしょ!もう切るよ!」
有無を言わさず、cccは電話を切った。
「あー…もう!」
いつからゾロとこんなふうになったのか、自分でもわからない。
ゾロの束縛が酷くなったのは最近だっただろうか。
もっと前からだっただろうか。
わからない。

cccは前にゾロと観たDVDのパッケージを手にした。
「やっぱり面白いなぁ…」
その映画を見ながら、cccはほろりと涙を流した。
「ゾロ…元に戻れないのかな…」
両手で顔を覆いながら、cccは嗚咽した。
「やだなぁ…っ」
cccはティッシュで涙を拭いながら、ぎゅっとスマホを握り締めた。


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