運命は交差している | ナノ
17

ロビンに呼ばれ、サンジとゾロは社長室に入って行った。

ロビーにはaaaとcccの二人だけ。
「aaaさん、だっけ?」
「は、はい…」
cccがaaaを見て、聞いた。
cccはゾロがロビンに呼ばれた時に応接室から出て来たが、cccは怒っている雰囲気ではなかった。
解決したんだろうか。
「ゾロの何?」
「え…えー…と…知り合い…?」
はきはきと喋るcccに、aaaは馴染めない。
芸能人だからか、相手がはっきり言うタイプだからか、人見知りだからか、おどおどしてしまう。
「ふうん。もしかして、ゾロが迷惑かけちゃった?」
「あっ、いえ、全然……全然、です」
「そう、じゃあよかった。あ、あたしね、ccc。モデルやってる」
aaaに手を差し延べてきたccc。
「私は、aaaです…。サンジくんの彼女です…」
aaaはそっとcccの手を握った。
少し冷たい手だった。
「あ、芸能人とかモデルになりたいとかそういうのじゃないのね」
「は、はい。ただの一般人です…」
「あんたの彼氏、押し倒しちゃってごめんねー?…ワザとじゃないのよ。…ホント」
cccは苦笑いしながら言った。
きつめの顔立ちだが、笑うととても美人だ。
「あ、もう、別に……大丈夫です。cccさんこそ、もう解決したんですか?ゾロさんとのこと…」
「…ゾロ、なんか言った?」
「情けないから言えないって…」
aaaは首を振った。
「情けない、ね。ホントに情けないわよー。あんね、男とご飯行っただけよ、あたし」
「えっ、…えー?でもそれって、彼氏にとっては嫌なんじゃないですかね…」
「そうかなぁ?あ、aaaさ、何歳?」
cccの突然の質問に、aaaは急に何、とでも言うような表情をしながら「19」と答えた。
「じゃあ、あたしの方がお姉さんだ。あたし21だもん。…ね、ため口でいいよ」
「え、急に、なんですか」
「ん?いやね、aaaとは馬が合うなって思って。…友達になってよ。一般人の友達、あんまいないし……普通に買い物行ったりご飯食べに行く友達が欲しいのよ」
駄目かな、と聞くccc。
aaaは、私みたいなのがこんな有名なモデルと、と申し訳ない気持ちで「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「ありがと。メアド交換しよっか」
cccがスマホを取り出すと、aaaは慌てて「今持ってないの」と言った。
「あ、そーなの。……自分のメアドわかる?それともあたしがメモった方がいいかな」
「あ、私ちゃんと覚えてるから、打つよ」
わざわざメモしてもらうなんて、とaaaはcccのスマホに自分のメールアドレスを何度も間違えながら打ち込んだ。
スマホって、打ちにくい。
「ありがと。…今度メールするから」
cccはスマホをいじると、かばんにしまった。

10分以上経ったが、まだサンジとゾロは出て来ない。
「サンジさんさ、かっこいいし絶対売れるよ。うちの彼氏はその100倍かっこいいけど」
「サンジくんの方がかっこいいよ!…そうなんだ。サンジくんが売れる、か……かっこいいし当たり前だよね」
「じゃない!そういう話じゃない!」
cccがaaaの言葉を否定する。
aaaはぽかんとしながら「違うの」と呟いた。
「芸能人の恋人って大変だってこと!さっきみたいなことが日常茶飯事よ!」
「え!そうなの!?や…やだな…」
「……まぁ、愛があれば乗り越えられると思うけど!なんてね。何かあったらお姉さんに相談しなさい!」
つまりそれはcccさんとゾロさんの間に愛があるってことかな、と考えつつaaaは「はい!」と答えた。

ガチャ、と社長室のドアが開いた。
「aaaちゃん、お待たせ」
「う、ううん!全然待ってない…」
サンジがaaaに微笑むと、aaaは照れ笑いを浮かべた。
「…あたし、帰るね」
やっとゾロが用事が終わったというのに、帰ると言うccc。
ケンカはまだ続いていたのだろうか。
「あぁ。またな」
「えっ?え?」
平然と返答するゾロに、ケンカしてはいないのか、と混乱するaaa。
「一緒に帰るとマスコミとかうざいから。それじゃね、aaa」
cccはaaaに説明すると、aaaに手を振って事務所を出て行った。
「……cccさん、いい人ですね」
ゾロに言うと、「あぁ」と笑って答えた。
不覚にもかっこいいと思ってしまった。
「おれも帰る」
「おう」
長鼻の人が事務所を出るゾロを見送った。
「仲良くなったんだ?」
「うん。すっごくいい人で、友達になっちゃった……」
「そっか」
にこやかに笑うサンジの足元に、たぬきがいた。
「たぬき…?」
「たぬきじゃねーぞコノヤロが!おれはチョッパー!」
「おれのマネージャーだってよ」
サンジがチョッパーを抱き上げてaaaに紹介した。
「へえー……サンジくんをよろしくね?チョッパーくん」
「おう!まかせとけ!」
えっへん、と胸を叩いてみせたチョッパー。
ぬいぐるみみたいで可愛い。
「ちなみに、後ろの長鼻のやつはウソップって言って、マリモのマネージャーだってよ」
aaaが後ろを向くと、ウソップと呼ばれた男は「よ!」と言った。
「こんにちは…」
aaaはウソップに会釈をした。
「用事、これだけだったみたいだから、おれたちも帰ろうか」
「あ、うん」
サンジがaaaの手を掴むと、後ろでウソップとチョッパーが口笛で「ひゅーひゅー」と囃し立てた。
「うっせーぞ、お前ら!それじゃーな!」
サンジが後ろを振り向いて怒鳴ると、ぐいと手を引っ張って事務所を出た。

「マネージャーって、本格的に芸能人の仲間入りって感じだね…」
「でもおれはコックでaaaちゃんの彼氏に変わりはねぇよ」
「…そうだね」


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