運命は交差している | ナノ
16

「ゾロさん。私、ゾロさんが出てるドラマ見てます。芝居うまいですよね…。モデルもうまい?ですけど…」
「モデルにうまいもクソもねーだろ」

サニー事務所に入り、ソファでくつろぐ二人。
よく思ったら話題がなく、微妙な空気を変えるために言った話題は間違っていたようだ。
また変えよう。
「その、cccさんと、どうして……仲悪く…?」
「情けねぇから言えねんだって」
隣に最近活躍しているモデルで俳優のロロノア・ゾロがいる、そう考えるだけで緊張する。
「情けないってどんなことしたんですか――」
「アウ!てめーら仲良いなァ!サンジの女じゃなかったのか!?」
aaaの台詞を遮って現れたのはサニー事務所の社長のフランキーだ。
「社長、用事ってなんだ」
ゾロはいつもの横柄な態度でフランキーに聞いた。
aaaはそんなゾロに驚く。
「マネージャー、変えることになった!!お前の新しいマネージャーはウソップだ!」
「まだ着いてないのに、言わないでくれる?」
フランキーの言葉に続けたのは、応接室から出てきたロビンだった。
「オウ!まだ来てねェのか!」
「寝坊したらしいわよ」
なんてありがちな理由なんだろう、そう思いながらaaaはゾロを見ると、ゾロは呆れ顔をしていた。
「悪ィな、あともうちょっと待ってろ!」
フランキーは両腕をつけて、ポーズを決めると、ロビンと一緒に社長室に行ってしまった。
「寝坊で遅刻…だってね…」
「そんなやつがマネージャーって大丈夫かァ?」
ゾロが溜息を吐くと、aaaは「大変ですね」と笑った。
「ほんとだよ」
ゾロの台詞を遮るように、応接室から物音がした。
「……誰か、いるのかな」
「さぁな」
ゾロとaaaはソファから立ち上がると、応接室のドアを開けた。

応接室で、サンジがcccを床に押し倒していた。

「てめェ、何してやがる!」
ゾロが怒鳴ると、サンジは慌ててcccから離れた。
「これにはワケがあんだよ!……って、aaaちゃん?」
「サンジくん…」
aaaの姿を見たサンジは、顔を真っ青にさせた。
「てめェも何、押し倒されてんだよ!」
「押し倒されたわけじゃないし!」
言い合うゾロとccc。
そんな修羅場で、状況を飲み込めないaaaは、ただ呆然としていた。
どうしてこんな、とか、ケンカしたからもうだめなの、とかいろんなことが頭をかけ巡って、意味がわからなくなって、涙が溢れて止まらなかった。
「…aaaちゃん」
「aaa…」
「……」
浅い呼吸をして、目を擦るaaaに、応接室はいたたまれない雰囲気に包み込まれた。
「サンジくん…何があったか…教えて?」
aaaはサンジと目を合わせず、鼻を啜った。
「あ、う、ん。おれ、用事があってここに来て、たまたまcccちゃんに会って…」
「ここで話してたら、たまたま、イスにぶつかって転んじゃって…、サンジさんが手貸してくれて、立とうとしたら…」
「うっかりおれも倒れちゃってあんな体勢に……」
サンジとcccが交互に言う。
「よかった……、浮気じゃなくて、よかったよ…」
ぐす、とまた泣き始めるaaaを、サンジが抱きしめた。
「ごめん、aaaちゃん!泣かねェでくれ!おれァ、aaaちゃん一筋だから、浮気なんか絶対しねェよ!」
二人きりで話そう、とサンジはaaaと一緒に応接室から出た。

「aaaちゃん、昨日はごめん!おれは…心配してただけなんだ。aaaちゃんが、マリモに何かされてねェかって…」
「……なんでそんなこと、聞くの?」
「マリモが、いろんな女に手ェ出してるって聞いて、aaaちゃんもだったらどうしようって……」
aaaは涙を拭うと、サンジの手に自分の手を重ねた。
応接室で「フランスパンのどこがいいんだ」という意味のわからない声は気にせず、aaaはサンジを見つめた。
「…キスされたって言ったら、サンジくん、どう思う?」
「キスされたのかッ!?そんなん、マリモを満足するまで蹴ったあと、満足するまでaaaちゃんとキスして消毒する!!」
サンジは荒々しく断言した。
「…消毒は、もう、してるけどね」
ゾロとのキスからすでに一週間。
恋人同士だから、その間にキスも、それ以上のこともしている。
「…もっと、だよ」
サンジはaaaを抱きしめ、耳元で囁くと、aaaの真っ赤な唇を啄むようにキスをした。
何度も、角度を変え、ここが事務所だということも気にせず。
「ん…、はぁっ」
息を切らせるaaaの頭を、サンジが優しく撫でた。
「なぁ、aaaちゃん、なんですぐに言ってくれなかったんだ?」
「サンジくんには言いたくなかったの。…ゾロさんは、彼氏じゃない人とキスしちゃったから責任感じてるんじゃないかって言ってたよ」
「なんで、した本人がッ!!…まぁ、そう思うレディもいるよな…」
aaaはキスのせいでほんのり赤くなった顔をサンジの胸に埋めた。
「サンジくんが、本当に大好きだから…」
「うん、知ってる」
サンジは抱きしめたaaaをもっと強く抱いた。
「おれも愛してる、aaaちゃんー!」
「苦しいよサンジくん…」
なんて幸せな時間なんだろう、aaaはサンジの愛に満たされていた。

「なんで、マリモはaaaちゃんにキスしたんだ?」
aaaを抱きしめる力を緩め、サンジはaaaに聞いた。
「…わかんない。…ゾロさんはcccさんのことがすっごく好きなのにね」
「なんでわかるんだ?」
「だって、サンジくんがcccさん押し倒してた時に、すっごく怒ってたし…」
aaaが言うと、サンジは「確かに」と呟いた。
「でも彼女がいんのにaaaちゃんにキスするなんて、そっちのほうが悪くねェか?」
浮気じゃねーか、とサンジが静かに怒る。
「…二人にもいろいろとあるんじゃないかな。本人同士じゃないと解決出来ないことが、…ね」
「……あぁ、そうだな」
aaaの言葉に、サンジは何かを思い出したように頷いた。
「何かわかったの?」
「ん、いやな、cccちゃんがゾロとケンカしてるって言ってた…」
「え、じゃあそれって…」
二人が見つめ合っていると、事務所の外からどたどたと騒がしい音がする。
「うお!チョッパーお前も遅刻か!おれも寝坊して遅刻だ!」
「おれは寝坊じゃねェぞ、ウソップ!ドクトリーヌとドクターのお酒買いに行ってたんだよ!」
バン、と事務所のドアが開き、鼻の長い男と、帽子をかぶったたぬきが現れた。

「あれ?おれ、邪魔だった?」
事務所内の甘い雰囲気に、思わずウソップが呟いた。

prev next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -