運命は交差している | ナノ
01

「bbb」
シャンクス教授、あなたのことが好きです。

bbbは大学四年生になり、慌ただしかった四月を過ぎて、もう五月になる。
精神的に余裕が出来て、授業もゆったりと受けられるようになった。
「あれ、サンジ」
「bbbさん」
二年から何かと同じ授業をとっていたサンジと、四年生でもまた同じ授業をとっていたようだ。
「また同じだなァ」
胸ポケットからたばこを取り、口にくわえたサンジ。
「何か縁があるのかもね」
「とか言って、bbbさんはシャンクス教授にしか興味ねぇだろ」
「まぁ、ね」
サンジはbbbが経済学部教授のシャンクスに気があることを知っている。
「四年生じゃあ、あんま会えねェよな」
「仕方ないよ」
授業があまりない四年生では、シャンクスの授業も少なく、会うことも極端に減ってしまう。
「早めに言っておいた方がいいんじゃねぇのかな」
「わかってるけど、私はサンジじゃないもん…」
はぁ、と溜息を吐いたbbbは、ついサンジに悪態をついてしまった。
「あ、これは悪い意味じゃなくて…!」
「あァ、わかってる。でも、卒業してからじゃあ遅いだろ」
サンジが強い眼差しでbbbを見た。
「卒業する前には、言うよ…」
サンジから目を逸らして、bbbはそれ以上何も言わなかった。

それから三週間――。
「bbbさんっ、聞いてくれよォ!」
「どうしたの、サンジ」
授業が終わって帰る準備をしていたbbbの隣にサンジが座ってきた。
「おれ、本気で恋しちまったよ!!」
「…?、ちょっと何言ってるかわかんない」
「冷てぇな!いや、ほんとなんだ。かつてこんなにドキドキしたこたァねぇよ!」
ぎゅう、と胸の辺りの服を握り締めたサンジ。
「…それでよ、bbbさん」
「うん?」
ファイルを入れたかばんを机に置いて、bbbはサンジに向き直った。
「bbbさんの気持ちがわかった気がするんだ…」
「…どういう意味?」
bbbは怪訝な表情を浮かべた。

「告白したいのに出来ない気持ちが!!」

叫んだサンジに視線が注目する。
bbbはサンジを小突いて声を小さくして、と呟いた。
「あぁ、悪ィ」
「で、どんな人がサンジをそんな風にしたの」
bbbは机に肘をついて、にやりと笑った。
「いやァ、おれ料理サークル入ってるだろ?今年入った子に惚れちまったんだ。可愛くてしょうがねェ」
「サークルって…、いっつもサンジ先輩ーって寄って来る子じゃなくて?」
「そうっ、違ェんだよ!!おれが話しかけると顔真っ赤にして照れんだよ!クソ可愛い…ッ!!」
目をハートにして体をふにゃふにゃにさせるサンジ。
「あと、前に肉じゃが作ってもらったんだがそれがウマくて堪らねェんだ!あーもう好きだァア!!」
「…サンジ、うるさい」
また叫んだサンジを、bbbがぺしんと叩いた。
「……なァ、bbbさんもこんな気持ちだったんだよな。嫌われたくねェとか、そういう…。悪ィ、野暮なこと言っちまってて…」
bbbは申し訳なさそうな顔をして謝るサンジの肩に手を置いた。
「いいよ、サンジは悪くないじゃない。ていうより、応援してくれてたんだから、謝るようなことじゃないよ」
bbbが笑うと、サンジも安堵して微笑んだ。
「そっか。…ありがとう、bbbさんのこと応援してる」
「…私も。頑張って」
bbbはかばんを肩にかけると、サンジに手を振って教室を出た。

七月が始まり、bbbは授業が終わって帰っていた。
「シャンクス教授また見なかった…」
先月サンジと話した日の授業以降、bbbはシャンクスを見ていないし会っていない。
「ちょっとだけ見に行こう」
bbbはシャンクスがいるであろう研究室へと向かった。
「ここ…だったよね」
扉の前で部屋を確認すると、そっと少しだけ扉を開けた。
何やら男同士の話し声が聞こえる。
「…ベン教授と、シャンクス教授?」
声を聞いていると、経済学部教授のベンとシャンクスみたいだ。
「また告白されたみたいだな。いい加減結婚したらどうだ。……ん?その指輪はなんだ。その、薬指の」
ベンがシャンクスに向かって言った。
「どこからそんな噂が……。あぁっ、これか、これはなァ…」
シャンクスの言葉の続きはbbbの耳には届いていなかった。
(指輪?…薬指に?)
シャンクスは事故で左腕をなくしていて、もし薬指に指輪をしているのなら、それは恋人かそれとも結婚相手か――どちらにしてもそういう関係を意味しているということだ。
bbbは立ち尽くしたまま、涙を流していた。

私、失恋した。


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