運命は交差している | ナノ
09

夏休みの間も、私たちはデートしたりお泊りしたりサークルに行ったりして関係を深めていって、そうしてる内に、九月は終わってしまっていた――。

「こんにちはー…」
ガラガラと調理室の扉を開けると、いつもサンジの周りにいる人たちがおらず、部屋の中はがらんとしていた。
「…あれ?」
部屋の奥を覗き込むと、そこには二人、サンジと、前にサンジと一緒にいた女の人がイスに座って話しているようだった。
「あ、aaaちゃん!」
aaaに気が付いたサンジが手招きをすると、aaaは扉を閉めてサンジのもとに近寄った。
「…サンジ先輩」
「aaaちゃんっ、会いたかった!」
サンジは立ち上がり、aaaを抱きしめた。
「こら、サンジ。イチャイチャしないでよ」
テーブルに肘をついている女の人が言った。
「悪ィ」
「ベタ惚れね」
「クソ愛してるもんで」
サンジはイスに座ると、膝にaaaを乗せた。
「…いいね、私もそんなこと言われたい」
aaaは自分に向かって言われた気がして、顔を俯かせた。
「aaaちゃん、違ぇよ」
aaaの腹に手を回したサンジが、aaaの耳元で囁いた。
「あ、ごめんね、aaaさん?違うの。私はサンジのこと興味ないから!大丈夫よー。そう言えば、自己紹介まだだったわね。私はbbb」
手を差し延べたbbb。
aaaはその手に自分の手を重ねた。
「aaaです…」
「知ってます。サンジが自慢するから」
髪をかき上げながら、にっこりと笑ったbbbは色っぽかった。
「自慢…?どんなこと?」
aaaが後ろを向いてサンジを見る。
サンジがaaaの頬にキスを送り、頬を擦り寄せた。
「クソ可愛いとか、料理一生懸命で可愛いとか、とにかくaaaちゃんが好きっていう…」
サンジが恥ずかしげもなくそう言うと、aaaは照れて手で顔を覆った。
「…愛されてるって、いいね」
ラブラブの二人を見て、bbbがふとそう呟いた。
「告白しちまえばいいんじゃねぇのかな」
サンジがbbbに提案すると、bbbは唸って頭を悩ませていた。
「告白?誰に…?」
「あぁ、aaaちゃんは知らねぇよな、そりゃあ」
aaaが首を傾げると、サンジが口を開いた。
「私ね、叶わない恋をしてるの」
二人とは向かい合うように座っているbbbが、寂しそうに言った。
「…叶わない、恋?」
「aaaちゃんはシャンクスって教授、知ってるか?経済学部にいるんだけど…」
「シャンクス教授…、聞いたことはあります。噂で、かっこいいとか…」
サンジの説明に、aaaは脳の奥にある記憶を引っ張り出す。
「bbbさんはな…」
「シャンクス教授が好きなの」
サンジが話すのに続くように、bbbが告白した。
「…ダメなんですか?」
「……ふ、22歳差なのよ。シャンクス教授は44で、私は22」
「22歳差…」
aaaがbbbの言葉を繰り返す。
「友人に相談してもありえないとか言われて…、やっぱりそうよね」
「そんなことないです!!」
はぁと溜息を吐いたbbbに、aaaが叫んだ。
「誰かを好きになるって素敵なことだと思います!年齢なんて関係ないです!!恋ってそんなに簡単にできるものじゃないから、だから…!」
言葉に詰まったaaaがbbbを見ると、bbbは笑っていた。
「…ありがとう。勇気が出た」
bbbは立ち上がると、手を振って調理室の扉を開くと、ぴたりと歩みを止めた。
「…私もaaaさんのこと応援してる。なにかあったら私に言ってね」
そう言ってbbbは行ってしまった。
「…だって」
「ハハ。なおさらaaaちゃんのこと傷付けらんねーな。ってか、aaaちゃん、そんなふうに思ってたんだ、"コイ"」
「…えっ、あ、あの、あれは…!」
顔を真っ赤にして口ごもるaaaを抱き抱えたサンジ。

「好きって、嬉しいことだよな」
「…はい」
繋いだ指が、熱を帯びていた。


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