飼い主の買い物(猫と留守番)

買い物に行こうか。


今日は晴天、小春日和といったところ。
少しの肌寒さを感じながら、冷蔵庫を漁る。
「うーんと、お魚と、お肉と、んー…」
冷蔵庫の前で云々とするaaa。
「野菜も、でしょ?」
aaaの後ろから、冷蔵庫を見遣るサンジ。
「ウッ!」
「aaaちゃんが食べられるようにするから…、ね?」
aaaの頭を撫でながらサンジが微笑むと、aaaは小さく頷いた。
「ゾロー!ゾロは何が食べたいーっ?」
キッチンからリビングへ、ゾロに呼び掛けると、ゾロが背を向けたままひらひらと手を振った。
「食べられるもんならなんでもー」
ゾロはソファに寝転がり、テレビを眺めたまま。
「…だって」
「へぇ」
サンジは興味なさそうに返事をする。
「……買い物、行こっか」
aaaは冷蔵庫の扉を閉めて笑った。
「うん」
サンジも、笑った。

「おやつ…」
おやつコーナーをうろつくaaa。
後ろからサンジがゆっくりとカートを押してくる。
「チョコ、ポテトチップス、アメ、グミ……、フルーツもいいなぁ」
チョコとポテトチップスの袋を両手に持ちながら、aaaは悩む。
「チョコはニキビができるし、ポテトチップスはカロリーが高いよ」
後ろからサンジが囁いた。
aaaの耳に、直に伝わる甘いボイス。
「ひゃん!、もう、サンジ!」
「おやつはおれが作ってあげるから。ローカロリーで甘いやつ」
サンジがaaaの頭を優しく撫でた。
「仕事のときは…、作り置きしとくから、ね?」
「……………お財布にも優しいしね?」
「aaaちゃんに金の心配させるなんて、最悪だ、おれ」
頭を抱えるサンジ。
「はは…、そんなことないよ」
ぺしぺし、とサンジの頭を軽目に叩いた。
「でも、お金のことは心配しなくていいから!」
サンジの店はテレビ番組や雑誌にも取り上げられるくらい有名で大繁盛してることは知っているけれど。
「サンジに任せっきりなんて、やだよ」
「aaaちゃん…!」
感動するサンジ。
aaaは気にせず、フルーツコーナーに移動した。
「いちごー、りんごー」
値段には気にも掛けず、カゴにぽいぽいと入れていく。
「りんごパイ、いいね。みんなで食べれるし」
いつの間にか隣にいたサンジに笑いかける。
「そうだね」
重くなってきたカゴとカートを眺め、「これでいいか」と溜息を吐いてレジに並んだ。

街の通りを歩く。
「いっぱい買ったね」
aaaとサンジは片方ずつ手に買物袋を下げ、空いた手を繋いだ。
「あーもー…クソ幸せ」
ぎゅ、と力の入れられたサンジの手。
歩く二人、正確にはサンジは目立つ。
顔立ち、容姿などが完璧だからだ。
女性が目をハートにしていることなど、見なくてもわかる、気がする。
「……」
「……」
ふと、サンジの顔を見上げれば、サンジも目をハートにしていた。
(もう…!)
aaaはぐい、と手をひっぱると、サンジが苦笑しながらaaaを見た。
「目移りなんて…最低」
「ごめんね、aaaちゃん」
クソ愛してる、と取って付けたような言葉を言って、サンジはaaaにキスをした。
「…!」
真っ赤になるaaa。
「帰ろう。クソ猫の泣き言なんか聞きたくねぇしな」
に、と笑いながら先を行くサンジに、aaaは口元に手を宛てながら、サンジのもとに走った。

「aaa遅ぇよ…!」
急いでもゾロの泣き言は聞くことになったのである。
「…今度はゾロも一緒にね」
aaaが笑うと、ゾロは猫に戻り、aaaの手に撫でられにいった。
「甘えん坊…」
ふるふると動くゾロの耳を優しく触った。



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