猫の不安

ベッドで、男二人、夢の中。
「サンジ、ゾロ!大好き!」
aaaの笑顔に、うっかり猫に戻ってしまったゾロと。
鼻血を今にも吹き出しそうなサンジ。
aaaはそんなことも知らず、すやすやと眠っていた。


aaaが目を覚ますと、そこには金髪の王子様がいましたとさ。
「おはようございます、PRINCESS。朝食になさいますか?それとも……おれに、なさいますか?」
aaaは上半身をベッドから起き上がらせ、サンジを見ると微笑みを浮かべていた。
「ちょーしょく……ごはんー…」
ごしごしと目を擦るaaaの手を掴み、下げる。
目が痛む、の合図。
「かしこまりました」
ちゅ、と手の甲にキスされ、aaaはベッドから床に足をつける。
ふと思い出して、振り返り、布団を剥いだ。
「ゾロも起きて!!」
猫に戻っているゾロの首の皮を掴み、ぶら下げる。
「みゃあ」
抵抗も何もしないので、aaaは仕方なく腕の中にゾロをおさめ、サンジと一緒にダイニングに向かった。

とたとたとリビングにあるペット用の容器に近寄るゾロ。
サンジが作った猫のゾロ用エサを食べている。
aaaはイスに腰掛け、時計を見遣るとサンジの出勤時間3分前。
「サンジっ、時間!」
「うぇ!、もう!?」
サンジはaaaの朝食をテーブルに置き、ネクタイを素早く締めた。
「aaaちゃん…。行ってきます、おれのPRINCESS」
ちゅ、と箸を取ったaaaにキスをしてリビングを出ていった。
「サンジ……」
サンジの背中がなぜか愛おしく思え、aaaはサンジを追った。
玄関にいたサンジに後ろから抱き着く。
「サンジ、いってらっしゃい!!」
「aaaちゃん?」
サンジが振り向くと、aaaが背中に頭を埋めていた。
「大好きだよ!いってらっしゃい!」
aaaはサンジの腰から、ぱっ、と手を離しサンジに微笑み、手を振った。
「……いってきます」
サンジはもう一度aaaの唇にキスをして、玄関の扉を開いた。
それを見送ってから、aaaはリビングに戻った。

「aaa…」
扉を開いた途端、aaaは人間のゾロに抱きしめられた。
「眠ぃ」
口元にエサを付けたまま、ゾロは猫に戻った。
「みゃー…」
「わっ」
aaaは猫になったゾロが床に落ちるのを慌てて抱き留め、ソファに下ろそうとする。
しかし、ゾロの手がaaaの服を必死に掴んでいて離れず、aaaは膝にゾロを乗せたまま朝食を終えた。
ソファで、猫のゾロを撫でながらテレビを眺める。
ゾロはまだ眠っている。
大学は昼過ぎから。
今は11時半。
(着替えなきゃ…)
aaaはなんとかゾロを服から剥ぎ取り、服を着替えた。
教科書を詰めたかばんを肩に掛け、テレビを消す。
「ゾロ、行ってくるね」
ゾロの頭を撫でると、ゾロが起きた。
「みゃあっ!」
ゾロが大きな声で鳴いた。
「ん?」
ゾロの昼ご飯を用意していたaaaがソファの方を向く。
ゾロがいつの間にか人間になり、目の前に立っていた。
裸のせいで視線を下に向けられないaaaはゾロの後ろの風景を眺めていた。
「aaa、行くのか」
「…うん」
ゾロがaaaの頬に手を宛てると、真っ赤な唇にキスをした。
「aaa……愛してる」
「あっ…んん!」
舌を絡められ、赤に染まる頬。
長い時間、キスをした後、ゾロとaaaは額をつけ、瞳と瞳を見つめ合った。
「aaaも、言ってくれ…」
「ゾロ……大好き」
ちゅ、とゾロに軽くキスをして、aaaは家を出た。

(また…一人、か)
広い部屋に一人きりのゾロ。
ゾロは顔をしかめてから、猫に戻るとソファに座り込み、また眠った。

寝ている間に猫の姿から人間になっていたゾロが、帰ってきたサンジに怒られるのは6時間も後のこと。

「てめぇの裸なんか興味ねぇんだよ!!」



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