04

「夜は寝かせてあげてね」
勝手に寝るもんじゃねェのが驚きだ。

風呂から出て、またaaaと別れ、スモーカーは執務室に篭った。
何時間かして、スモーカーは一仕事終え、ソファに深く腰を下ろして一服していると、時計が目に入った。
すでに3時を示していたが、疲れていたスモーカーには一瞬、9時に見えた。
風呂に入ったのがすでに12時を過ぎていたのだからありえないことはすぐにわかったのだが。
夜の9時といえば、昔、aaaがスモーカーの部屋を訪ねていた時間帯で、スモーカーと少し話をしてから一緒に寝室に行き、スモーカーに見守られながらaaaは眠りにつく。
それがいつもだった。
「スモーカーさんっ!」
目をつむって過去を思い出していたスモーカーの目の前に、aaaがいた。
「…なんだ」
「なんでもないよ。…スモーカーさん、寝てるのかと思って起こそうとしただけ」
aaaはスモーカーの隣に座る。
「…そうか」
スモーカーが喋ると煙が口から吐き出される。
「何か考え事してた?」
aaaはスモーカーの顔色を窺った。
「いや」
「そっか。ならよかった」
スモーカーはおもむろにaaaの髪に触れると、後頭部を掴んで顔を引き寄せ、半ば無理矢理キスをした。
「んっ……スモーカーさん」
息を切らすaaaに、スモーカーがにやりと笑う。
aaaは悪態を吐いてから、何かを思い出したように、あ、と声を上げた。
「……あ!あのね、スモーカーさん!ピル、さっき探したんだけど、ベッドの横の棚に入ってたやつであってるよね?とか言って、もう飲んじゃったけど」
「あ?…あぁ」
スモーカーは風呂での情事を思い出した。
乱れたaaaは可愛いと素直に思う。
そんなことを考えていると、不覚にも欲を覚えてしまい、スモーカーは熱くなった体を落ち着かせた。

「スモーカーさん、私、もう寝るね。3時だし……。スモーカーさんはまだ?」
「いや…、俺も寝る」
「スモーカーさんも早く寝ないと、年なんだから体おっつかなくなるもんね!」
はは、と笑ったaaa。
「うっせ」」
aaaは立つと、スモーカーがついて来ているのを確認しながらスモーカーの寝室を目指した。
aaaにも寝室はちゃんとあるのだが、スモーカーと寝ることが多く、今は女海兵に部屋を貸している。
二人が寝室に入ると、aaaは靴を脱いですぐさまベッドにダイブした。
スモーカーは階級が上だからか、ベッドがとてもフカフカで、昔からaaaのお気に入りの場所だ。
「んー…」
ベッドから下りずに、器用に布団に包まると、スモーカーが入る分だけ、布団をめくった。
「はい!スモーカーさん!おいで!」
脱いだ上着をイスにかけたスモーカーにaaaが呼びかける。
「バカか」
上半身裸のスモーカーはブーツを脱いでから、aaaにパジャマを投げてベッドに入った。
「着ろ」
「はーい」
aaaは着ていた服を脱ぎ捨てパジャマを着た。
くしゃくしゃのaaaの服はスモーカーによってきちんと畳まれることになる。
「スモーカーさんって結構綺麗好きだよね」
aaaは布団にまた包まった。
「うるせェ」
畳んだ服をスモーカーの上着がかかったイスに投げると、スモーカーも布団を被る。
近くにあるランプを消すと、窓からの月の光がちょうどいい具合に瞬いている。
aaaは月の光でぼんやりと見えるスモーカーの顔を見て、微笑んだ。
「スモーカーさん、おやすみなさい」
aaaが目を閉じるのを見てから、スモーカーはaaaの頭を優しく撫でた。
「あぁ、寝ろ」
昔は馴れない絵本を読み聞かせていたのに、今ではこんなにすぐに寝てくれるのは、嬉しいことなのか寂しいことなのか。
スモーカーは布団の中でaaaを抱きしめて密着すると、目を閉じた。


◯おまけ(昔話)
スモーカーがaaaに絵本を読む。
「スモーカーおじさん、何言ってるか全然わかんない!ちーがーうーのーがーいーいー!」
「わかったから叫ぶな…!」
全然寝ないaaaにスモーカーは毎日大変。
昔は苦労人でした。


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