02

「バカしたら怒ってね!」
びしっと指をさされて、言われたからには忘れられない。

「5時の方向に海賊船が!」
見張り番の海兵の声が軍艦内に響き渡ったと思えば、ウーッとサイレンの音がして、海兵たちが慌ただしそうに騒ぎ始める。
aaaもすぐに部屋を出て、スモーカーのところに向かった。
「たしぎちゃん!」
スモーカーの隣に刀を持ったたしぎが立っていた。
「あ、aaaさん」
aaaもスモーカーの隣につく。
「……デカいね」
遠くに見えた海賊船を見ての率直な意見。
「あはは……って、きゃあ!」
ドン、と撃ってきた大砲が海に落ちて、大きな飛沫を上げる。
揺れた軍艦に掴まるたしぎ。
aaaはスモーカーにがっしりとしがみついていた。
「海賊船が横につけてきたぞ!」
海兵が叫んで、aaaが見上げると、大きな海賊船が軍艦のすぐ側にいた。
「い…いつのまに」
aaaが、はは、と苦笑いした。
「戦闘の準備をしろ!」
スモーカーが十手を手に叫んだ。
「はいっ!」
aaaやたしぎを含めた海兵が、口を揃えて返事をすると、海賊は軍艦に、海兵は海賊船を襲った。

aaaとスモーカーは海賊船に行き、次々と海賊を倒していく。
能力者の船長もスモーカーにあっさりとやられ、aaaが残りの海賊を倒そうと腕を振るっている。
「…やあっ!」
バキィッ、と鈍い音がして、最後まで抵抗していた海賊が倒れた。
「スモーカーさん、やりましたー」
海賊船の甲板にいるスモーカーに、船尾にいたaaaが走り寄りながら手を振る。
「ク、ソ…!!」
倒れた海賊が銃を手にして起き上がったことに、aaaは気付かない。
「スモーカーさーん」
aaaに気付くスモーカー。
「ナメやがって…!!」
ドン、と撃った銃の銃口はaaaの胸に向けられていた。
「え…?」
aaaは最初、何が起こったかわからず、体に走った突然の衝撃によって床に叩き付けられた。
「うぅ、痛…っ!」
床にうずくまるaaa。
「aaa!」
スモーカーが煙になって、aaaのもとに向かう。
「てめェ!」
スモーカーは銃を撃った海賊を十手で倒すと、aaaに駆け寄った。
「大丈夫か!?aaa!」
汗と血にまみれたaaaを抱きかかえ、スモーカーは軍艦に戻った。

「てめェはバカか!ちゃんと倒したか確認してから来やがれ!」
スモーカーの怒鳴り声が医務室に響き渡った。
「ご…ごめんなさい…」
aaaがパイプのベッドに正座してスモーカーに謝る。
aaaは腕を掠っただけだった。
今は船医に包帯を巻かれている最中だ。
「殺されてたかもしれねんだぞ!わかってンのか!!」
スモーカーの怒り方が尋常じゃないのは、誰が見てもわかる。
「はい…」
「あァ!?」
スモーカーの声に、aaaがびくついた。
「……もういい。休んどけ」
「あ…待ってスモーカーさ、」
医務室のドアを大袈裟に閉めて、スモーカーは行ってしまった。
「……スモーカーさん」
aaaがしょんぼりとしてベッドに突っ伏すと、船医が痛み止めの薬を持ってきた。
「心配だったのよ」
スモーカーさんのような大人が好きそうな色気ムンムン女の人だよなぁと思いながらaaaは船医を見た。
「腕にちょっと怪我しただけなのに、あんなに怒るなんて、よっぽど好かれてるのね」
船医のウィンクにドキッと胸をときめかせつつ、aaaはベッドから起き上がり、船医に丁寧にお辞儀をすると、スモーカーを追った。
部屋にいるだろうか、とスモーカーがいる場所を考えながら、aaaは執務室に入った。
そこには、意中の人。
「スモーカーさんっ!」
ソファに座っていたスモーカーに飛び付いて抱きしめる。
「もうしないから…!」
「aaa…。言い過ぎたな」
スモーカーがaaaの頭を撫でる。
「私が悪いんだもん…、ごめんなさい」
スモーカーの太ももに跨がって、aaaはスモーカーの首に腕を回した。
「…気をつけろ。いつもおれが守れるとは限らねェ。…強くなれ」
「うん…!」
スモーカーはaaaの腰を掴むと、引き寄せて体を密着させた。
体が熱い。

あなたを心配させないくらいに強くなりたい。


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