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「ねぇ、スモーカーくん。もし私が死んだら……この子をよろしくね」
当時軍曹だったスモーカーは上司である中将に、そう言われた。
中将の夫は海軍の少将だったが赤ん坊の顔を見ることなく死んでしまった。
そしてその上司も、子供を産んで12年後、子供を置いて出た海で、海賊討伐の際に殉死した。
スモーカーは約束の通り、上司の子供、aaaを引き取った。
いや、約束通りというより、それはスモーカーの上司である彼女の思惑通りだった。
彼女はスモーカーが自身に好意を寄せていることを知っているからこそ、任せたのだ。
そしてそれを、スモーカーも知っていた。
だからこそ、彼女の子供を放っておくことなど、到底出来なかったのである。

それからスモーカーはaaaを育て上げた。
1年と半年経ったある日、スモーカーはaaaに呼ばれた。
「スモーカーおじさん、私、海軍に入りたい!」
aaaにそう言われた時に、スモーカーは頭を鈍器で殴られたような気がした。
何度海軍が危ないところだと言っても聞く耳を持たないaaa。
勝手にしろとケンカをした翌日には自分の部下になっているから驚きだ。
「てめェ…!」
怒るスモーカーに馴れたaaaはへらへらと笑っている。
「よろしくね、スモーカーおじさん!」
可愛い笑みでそう言われれば、言い返す言葉など浮かんでこない。

5年後、aaaは17歳で少佐になり、最年少記録を更新した。
スモーカーは34歳で、すでに大佐だった。
「…スモーカーさんっ!」
aaaは正式に少佐になると、すぐさまスモーカーの執務室に向かった。
「やっと…スモーカーさんと一緒にいれる!」
二人は恋人だった。
aaaがスモーカーから離れたくなかったのだ。
階級が低い海兵は異動が多い、だからそれなりの階級が必要だったaaaは努力と天性の才能とで少佐になった。
aaaはソファでくつろぐスモーカーに飛び付くと、スモーカーが優しくaaaの頭を撫でた。
「スモーカーさん…」
「……aaa、」
重なる唇が、熱い。
「うれしい……、これからもずっと一緒にいれるね」
「あァ」
抱きしめたaaaは、引き取った当時よりも大きくなっていた。


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