▽ 私が純血主義だといつから錯覚していた…?
(※再び大草原)
ナルシッサの某芸人みたいな叫びにアンタレスは固まった。テレビをみないアンタレスたちはその元ネタを見たことこそなかったが、レギュラスからの入れ知恵でそれがマグルのコメディアンのものだということは知っていた。
「な、ナルシッサ姉さん…?」
「なななな何かしら?私何も言ってないわよ」
「私もまだ何も言ってないです」
アンタレスの灰色の瞳がナルシッサのスカイブルーの瞳を貫く。ナルシッサは息を飲んだ。この小さな従妹は、こんな強く鋭い眼差しをする子だったかしら…
アンタレスが息を吸い込み、ナルシッサは彼女の次の行動を待つ。ヤックスリーとドロホフは先程の余韻がまだ抜けずに口をおさえて肩を震わせていた。
「あの、ナルシッサ姉さんは…テレビを見るのですか」
「大好きよ。…あっ」
「お笑い番組は何が好きですか」
「笑点かしら。…あっ」
「しぶっ」
素直にアンタレスの質問へ答えてしまい、何度も口をおさえるナルシッサ。彼女は口を滑らせまくりそうな気がする、憧れだった綺麗な従姉はどこへ行ったのだろう、とアンタレスは遠い目をした。
ソファの近くでヤックスリーが復活した様子で立ち上がる。そしてナルシッサに向かってにっこりとよそいきの笑顔を浮かべた。
「さあLet's song!」
「夢を壊そう!あっ」
「物騒すぎるんですがwwwwwwwww」
ヤックスリーの腹筋が再びナルシッサによって駆逐された。ドロホフは瀕死なのか、声をかけても返事がない。ただの屍のようだ。
しょうがない、ここは私が、とアンタレスは心を決めた。私がやらなければ、誰がこの状況を打破できるというの…!!
決意を秘めたアンタレスの目を見たナルシッサもまた、真剣な表情で彼女を見返した。
「らーめんつけめん?」
「僕イケメーンwwwwwオーケェーイwwwwwwwwwwwあっwwwwwwwwやらかしたwwwwwww」
ついにナルシッサの腹筋も駆逐されて、ヤックスリーやドロホフと一緒に談話室の床に転がる羽目になった。
帰ってきたマルシベールが転がり回るナルシッサを見て目を白黒させながら、何があったんだと口をあんぐり開けた。
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