闇陣営撲滅キャンペーン実施中 | ナノ


▽ 女の子は大切に


(※シリウスが気持ち悪い)

「あ、あのね、シリウス…」

シリウスは目の前でもじもじと恥じらうハッフルパフの女子生徒をじっくりと観察した。彼女は朝のふくろう便の時間に、シリウスへ呼び出しの手紙を書いた張本人である。
11歳なのにふっくらと育ちはじめている胸、白い肌、丸いくりくりとした焦げ茶色の瞳。髪の毛は栗色のゆるいウェーブがかかっていて、傍目から見てもとても可愛らしい美少女だと言えるだろう。そんな彼女が潤んだ瞳を生かして上目遣いをしてきたが、シリウスの腕には鳥肌がたった。

俺はクールビューティーが好きなんだ。

「あの、来てくれて、ありがとね」
「おう、別に。暇だったし(早くしてくれねーかな、エヴァンズがトキノちゃん描いてくれるって言ってたから早く見たいんだけどなトキノちゃんマジ天使!神!踏んでください!あ、レギュラスにふくろう便飛ばして5月限定のうたプリレアパック10個頼まなきゃ。財布の中身?知らんな!今ほど家が貴族で裕福だったことに感謝したことはないぜ!)」
「あのね、あたし、シリウスに伝えたいことが…」
「(そういえばあの隠しキャラのシセルも可愛いよなホンット可愛いよなあの浅黒い肌やばい。天然でちょっと片言なとことか猫ちゃんなとことかくっっっそかわ!ぎゃんかわ!!ハッいやいやいや、俺にはトキノちゃんという心に決めた女性が…シセルぐうかわ!どっかにトキノちゃんとシセル落ちてませんかね…出来ればロンドン市内に。てかこいつ誰だっけ)」
「あたし、シリウスのことが…!」
「(つぶやいたー始めたいわマジスマホ欲しい。トキノちゃんクラスタと繋がりたい!!語りたいぞちくしょう!あわよくばジャパンの人と繋がって情報共有したり物品交換したり!ファンミーティングにもいきたいですトキノちゃんの美脚ぺろぺろ!シセルの民族衣装剥ぎ取りたい!)」
「好きなの!付き合ってください!」
「えっ何処に?」
「え、」

途中から脳内で暴走していたシリウスは彼女の話を完璧に聞き流しており、"付き合ってください"という告白に"何処に?"と返す少女漫画の鈍感ヒロインのテンプレをかました。一世一代の告白をボケ(無自覚)で返され、女子生徒は口をぽかんと開けて固まる。

「わ、私と恋人になってくれるって意味で…!」
「わり、俺嫁いるから無理だ」
「よ、嫁…!?」

真顔のシリウスに女子生徒は怒りで顔を真っ赤にして詰め寄った。初めのもじもじとした可愛らしい仕草なんて見る影もなくなっていてシリウスは嫌そうに眉間に皺をよせた。

「嫁って何よ!好きな人?恋人?誰なのよそれ!」
「トキノちゃん。頂点にいながらもなお向上心を絶やさないクールビューティーだ。あ、あと俺お前の名前知らないんだけど」


ジェームズ・ポッターは頬に紅葉をつくって談話室へ帰ってきた親友を見て笑い転げた。

prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -