▽ ゲーセンデビュー
和解したブラック家三兄弟。そんな3人はマグル街のゲーセンに来ていた。
ゲーセンデビューを飾るアンタレスとレギュラスはゲーセン特有の大音量の電子音にやられて耳を塞いだ。一方のシリウスは慣れた様子で現金をコインに換え、クレーンゲームへと近づく。
「これは何?」
「クレーンゲームっつってコイン入れて…こう…」
コインを一枚投入したシリウスは迷いのないボタン捌きを見せた。
「ちびミクのぬいぐるみ…」
「目が血走ってますよ兄さん。どうしてリンちゃんのぬいぐるみがないんですか!!」
「うっせぇお前黙ってろ!!」
シリウスが狙っているのは可愛らしくデフォルメされたミクのぬいぐるみらしい。狙いを定めて降ろされた機械はミクの首をがっしりと挟み込んだ。
「痛そうね」
「ギャアアアごめんなミクたんちょっとの辛抱だからな!!」
たった一回でお目当ての品を獲得したシリウスはご満悦。対するレギュラスはボカロガチャガチャの前に座り込んでいる。
「ミク…雪ミク?シークレットキャラですか…ルカ…レン…メイコ…カイト…がくぽ…テト?ああ、シークレットキャラその2か…どうしてリンちゃんが出ないんですか!?」
「てめっ雪ミク!?よこせや!!」
「リンちゃん以外コンプとか!!リンちゃん出せや!!」
「オレリンのグラフィグ4個持ってるから!!いいから雪ミク!!」
「交渉成立じゃ!!」
「2人とも煩いわよ」
危うくボカロ厨2人が乱闘を起こしかけたのでアンタレスの幻の左ストレートが唸った。
「あの小屋みたいなのは?」
「プリクラな…撮るか」
「「えっ」」
シリウスに腕を掴まれた2人は大人しく引きずられていった。
\お金を入れてね☆/
「シャベッタァアアア」
「よし、背景はこれでこうして」
「シリウス、貴方何してるの?」
「あのレンズ見てポーズな」
「話聞いてる?」
あれよあれよという間に機械が写真を撮り始め、落書きタイムになってしまった。最初こそ戸惑っていたアンタレスとレギュラスだが最後の方はもうベテラン並みだった。落書きについてはシリウスとレギュラスが全力を尽くしていたのでアンタレスは何も言わない。
出てきたプリクラを見てアンタレスは顔をひきつらせた。
「目、大きいわね」
「プリクラだしな、そういうもんだ」
「兄さん気持ち悪いです」
「何で!?」
思い出にとシリウスとアンタレスはそれを杖の持ち手に貼った。
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