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▽ ダイアゴン横丁


ブラック家は、家族総出で買い物に来ていた。
ヴァルブルガはまずシリウスとアンタレスをマダム・マルキンの店に押し込んで、自分はフローリッシュ・アンド・ブロッツ店へと教科書を買いにいった。

残された2人はといえば、終始無言だった。

シリウスはアンタレスが純血主義だと思っているので顔も見たくないといった態度をとる。
アンタレスにはどうしようもなかったので、放っておくことを選択した。
本当は弟としゃべりたかったのだが、その弟がこうでは致し方ない。

採寸も終わり、ヴァルブルガに呼ばれた2人はオリバンダーの店へと連れていかれた。

シリウスの杖は難なく決まったが、アンタレスの杖はなかなか決まらない。
店内は半壊状態である。
シリウスは退屈そうにあくびをし、ヴァルブルガはそれを叱る。
背後の親子の雰囲気が悪くなるのを感じたアンタレスは冷や汗をかいた。

「ふぅむ…難しいのぉ…おお、そうじゃそうじゃ、この杖なんて如何かな?」

オリバンダーが持ってきたのは、薄い茶色の杖だった。

「千年桜の枝にセストラルの心臓の琴線、氷牙竜の牙、28cm。変身術に向いておる」

アンタレスは一瞬千本桜かと心を踊らせた。
差し出された杖をそっと握ると、指先からふわり、と温かい感覚が広がる。

…それに反比例して、店内は一瞬で氷河と化した。

杖の先から、冷気と共に白い豹のような生き物が飛び出して氷の面を滑り出す。

「(モンスターハ○ターのベリオロスじゃない!!…あ、氷牙竜はベリオロスの…)」

…ということは?

カチコチカチコチカチコチ…チーン!!

ベ リ オ ロ ス 実 在 フ ラ グ

余りの寒さにシリウスとヴァルブルガが外に出たことも気づかず、アンタレスは早く仲間たちに会いたくてウズウズしていた。


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