Beloved Prince
(私の最愛の王子様)

小説 | ナノ
2


お盆に会ってから、智也から

『親戚として付き合うの辞めた。友達としてよろしくね』

的なことを言われた。

初め彼は、親戚として繋がれればいいと思っていたみたいだった。
そんな仲良くなろうなんて、お互いに思ってもみなかった。
何通かやり取りしたら終わる。そう思っていた。

でも、音楽の話、趣味、学校の話、ありきたりな話・・・
メールは毎日と言っていいほど続いた。



「想像以上に可愛いじゃないですか」

なんて、智也は本当か嘘かそんな嬉しい事も言ってくれた。
彼の方が写真以上に美形で、とっても綺麗だったから

「智也くんもとってもかっこうよかったよ」

と、姫も本当の事を言った。


この時姫は、恋愛感情はなかった。
でも、彼は既に姫を好きだった。
勿論当時姫は、彼が自身を気になっているとは思いもしなかった―・・・




その後2人は、夏休みは殆どメールをした。
少しして、「愛唯さん」や「愛唯ちゃん」と呼んでいた彼が

「愛唯って呼び捨てで呼んでもいい?」

と言われた。
姫に断る理由もなく、快く承諾した。


写真付きのメールが彼から来たり
彼からメールを送ってきてくれたり
彼が「声が聴きたい」なんて言ってくれたり


段々と彼が姫に近付いてくるのに、姫も気付いた。




当時の姫は今よりも鈍感で、男女関係や駆け引きや恋愛に慣れてなかった。

というより、恋愛を避けていた。
誰かに深入りされる事や、逆に深入りする事を拒んでいた。

今も若干あるが、当時姫は『私は誰からも愛されてない』と思っていた。
『生きる価値がない』と思っていた。
精神病院やカウンセリングにも、通っていた。

姫は彼に心の闇を全て隠して付き合っていた。
言う必要性を感じなかったから。

姫は自分の障害や精神病がコンプレックスで、ろくに人間に心を開いた事はない。
特に異性には。

この頃の姫は本当に、異性に警戒心を持っていた。


それ故に、姫は彼の行動がアピールだという事には気付いていなかった。




でも着実に、彼らの距離は縮まっていた。
少しずつ、少しずつ―・・・


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