03
「僕に……?いいんですか?」
「うん!これ、どうぞ」
プレゼントを差し出し、白馬君が手を伸ばした瞬間だった。
「きゃっ!」
「っ?!」
大きなツリーの電飾が小さくバチっと火花を散らし、電気が消えた。
ツリーの電飾が消えた事であたりは真っ暗になり、周りにいた人達はざわめきだす。
「なにっ?!」
「……来た様ですね」
「えっ?わっ!まぶしっ……!」
一瞬で視界が眩む程の光に包まれたと思えば、ツリーは1面真っ白な電飾になっていた。
「真っ白……!」
「その宝石は、私が頂いて行きましょう。白馬探偵」
「……っ」
「えっ?!キッド?!」
声がする方を見れば、建物の屋上にキッドが立っていた。
実は怪盗キッドは結構好きで、会えたらいいな、なんて思っていたから、正直嬉しい。
でもおかしいな。
「私、宝石なんて持ってないよ?さすがに宝石をプレゼントするのは無理だし……」
「プレゼントの事じゃないですよ。キッドが言う、宝石は」
「え?」
じゃあなんだろうと思っていると、キッドは下に降りてくるなり私の手を引いた。
「わっ、ななな何!」
「宝石とは……あなたのことですよ、名前嬢」
「へっ?わ、私?!」
「名前嬢。私は今まで色んな宝石を見て来ましたが……あなた程美しい宝石が眠っていたとは驚きました。見逃していた自身が恨めしいです」
「そんな……私なんて全然……」
「怪盗が宝石に魅入られるのは、不思議なことではないと思いますが」
ふんわり笑顔を見せられ、何も言えなくなってしまった。
「その目を見る限り、私に盗まれてもいいと言っている様にしか見えないのですが……。私は大歓迎ですよ?寧ろ、盗んではいけませんか?」
「あの……っえっと……」
知っている通り、とてもキザな人だ。
私の心を見透かされているうえに、そんなキザなセリフを言われたら恥ずかしくなってしまう。
どう返事をしたらいいのかもわからず、一気に顔に熱が集まり俯いた。
「名前さん、だめですよ」
その声にハッとなり、白馬君の方へ振り向いた。
「名前さん……君は何にも変えられない。例え世界で1番美しい宝石でも。だから怪盗になんて渡したくありません。僕が君を守る。それではだめですか?」
「ええっ?!白馬君まで…っ!」
そういえば白馬君もキザなセリフを言う人だった……。
っていうか私どういう状況っ?!
周りの注目を浴びてるし……
この空気……耐えられないっ!!
「白馬君!これ!さっき渡し損なったプレゼント!私帰る!ごめんね!」
「名前さん!」
完全に言い逃げだった。
この空気に耐えきれず、走って家に向かう。
こんなクリスマス初めてだ!!
嫌ではないし楽しかったけど……
恥ずかしいっ!!
prev|
next
[Topへ戻る]