「…着膨れしたな」
「ぅ」
薄い服から順に何枚も重ねて着せ、ズボンの下にはもちろんタイツを重ねて履かせ、靴下も2枚。長靴。帽子にイヤマフラー。かさね手袋。
そんなフィオレを見下ろしたドラコの一言がそれだった。
「まるでダルマだ」
「む」
「まあこれだけ着させれば風邪なんてひかないか」
「、ぃあ」
「暑い?外に出るんだ。そのうち丁度良くなる」
ドラコもそれなりの防寒をして、フィオレと一緒に外に出た。
玄関を出ると、ざくざくと積もった雪に足跡が付く。そして気温は氷点下。
「…戻るぞフィオレ。こんな寒さ僕はむり」
「きゅぁー!ぁー!」
先に出たドラコが踵を返した瞬間足の間からフィオレが飛出し、ドラコなど放って雪の絨毯に突っ込んでいった。
「ぅ、わーぉ」
やはり感動したらしい。
手を叩いたフィオレはすぐに前倒れになった。雪にはフィオレ型の跡が付いた。
「ダルマだからそうなるんだ」
ダルマにしたのは自分だが。
フィオレの服や顔についた雪を払い、ドラコはさっそく彼女と向き合った。
こうなったら仕方ない。
寒いが…やってやる。
「僕が雪だるまの作り方でも教えてやろうか」
こうして、ドラコとフィオレの雪遊びは始まったのだった。
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