「というわけで、皆さんご協力ありがとうございました!本当に」

ナマエが頭を下げると、広間前の廊下に集まっていたハリー達は口々に「見つかってよかった」と言って笑った。ナマエは心が温かくなるのを感じた。

「ナマエ、俺達にも噂の…『君たちの』フィオレ嬢の顔を見せてくれるかい?マルフォイ」
フィオレを抱えていたドラコは嫌そうに顔をしかめた。

「何でお前らなんかに見せなきゃいけないんだ」
「おや?俺達も捜索に貢献してたってこと」
「忘れてもらっちゃ困るぜ?」
「…」

ドラコはしぶしぶ、本当にしぶしぶといった様にフィオレの体を双子に預けた。

「意外と重いな」
「オイ何てこと言うんだ!」
「冗談さ!意外と可愛いの間違いだよ」

双子は額をくっつけてフィオレの顔を覗き込んだ。
フィオレは初めて見る二人の顔の違いを見つけようと必死になっているらしい。見比べてはひたすら首をかしげてる。

「かわいいって?当然だろ、僕らの子供なんだからな」
「確かにナマエは可愛いもんな」
「ああ。フィオレにどこかの誰かさんのようなふてぶてしさが受け継がれなくて何よりだ」
「誰の事だ!ウィーズリー!」



「何か、フレッドとジョージとマルフォイが一緒にいるのって変な感じだ」ロンが呟いた。
「そうね」
同意したハーマイオニーに続き、
「マルフォイも、少しは丸くなったみたい」
ハイーも苦笑して言った。



「よろしく。俺はフレッド」
「俺はジョージ。そこにいるロンの双子の兄貴さ」
「ぉん…?」
「ああ、そうだ」
「ところで、フィオレ嬢…ずっと気になってたんだけど」

「「その袋には何が入ってるんだ?」」


自分が抱える袋に視線が集まったフィオレは嬉しそうに笑った。抱えていたジョージの腕から下ろしてとねだり、足が床に着くと、袋を漁り出した。


「あい…まぁま」
「え?」
「ぱぁぱ」

フィオレはドラコとナマエの足もとに行って、厨房で貰ったチョコチップクッキーを差し出した。
フィオレからそれを受け取り、顔を見合わせる。


「ろぉん」
「え、ぼ、僕にも?」
「ぁりー」
「わ…ありがとう!」
「ハーまぃにー」
「嬉しいわ、フィオレ…!」

最後にホワイトチョコを受け取ったハーマイオニーがフィオレに向かって腕を広げると、フィオレはかわいくはにかみながらその腕に飛び込んだ。
「これがマルフォイの子供だなんて信じられない!かわいすぎよ!」と心の中で叫ぶハーマイオニーであった。

ハーマイオニーのハグから解放されたフィオレは、申し訳なさそうに口をもごもごさせて、双子を見上げる。


「あら、仕方ないわよ、フィオレ」
ハーマイオニーが諭すように言う。
「君はフレッドとジョージの事を知らなかったんだから。」
「お土産がなくたって二人は怒ったりしないさ」
ロンとハリーが続けたところで、双子はよよっと泣き真似をして見せた。顔をしかめたドラコが二人から一歩離れる。


「ぼくら……あんなに頑張って君を探したのにっ」
「ぼくらだけご褒美無しだって?悲しいな、相棒」
「ぅー…ぁ、」

困りきった様子のフィオレは、不意に名案を思い付いたように手を叩いた。
二人のそばにてってっと駆け寄ると腕を広げて見せる。
顔を見合わせたフレッドとジョージはお互い屈んでフィオレの身長に合わせた。

チュッ
チュッ



「!!!!!」ドラコが驚愕した表情でよろめいて、声にならない悲鳴もちょっとあげた。
ナマエは「あら」とくすくす笑う。


「てん、きゅー…!ぅれっと、じょーい」
「…相棒、この子きっと天使だ」
「俺もそう思った」

「お、お、お前たち……!!」

「おっと、ドラコパパがお怒りだ」
「こりゃあ俺達、退散した方がよさそうだな」
「じゃあ」
「まあな、フィオレ」

二人はフィオレの両頬にキスすると、怒りやら何やらで震えるドラコが爆発する前に風のように逃げ去ってしまった。


「フィオレ、あの二人が好きになったみたいですね」
「それは光栄だよ。今度パーシーにも会わせてみようかな」
「ダメだ!!!」
「ちょっと煩いわよマルフォイ」
「あれ?その袋…まだ何か入ってるみたいだけど」

フィオレは大きく頷いて、口を開いた。

「ねぇ、ぃぷ!」
「…?」
首をかしげる4人に向かって、フィオレはもう一度その名を口にした。

「ねぇい、プ!」
「…ねぇいぷって」
「まさか…フィオレ」

「スネイプ先生の、事ですか…?」

ナマエが訪ねると、そのとおり!と言いたげにフィオレは飛び跳ねた。
袋の中で跳ねるビターチョコは、確かに、スネイプにあげるには申し分のないチョイスだ、と皆ひそかにそう思った。

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