「…ドラコ!」
「ナマエ!こっちにはいない、他に捜してない所は…」

二人の脳裏に、かつてフィオレの名前を決めたあの場所が浮かんだ。
「「図書室!」」
ナマエの手を取ったドラコ。二人は図書室に向かってだっと駆けだした。











「ハァ、ハ……ダ、ダンブルドア先生?」
「っフィオレ!!」

図書室に居たのは、フィオレを抱えたダンブルドアだった。

「おや、迎えが来たようじゃの」

「せ、せんせ…フィオレは」
「安心するのじゃ、ナマエ。寝ておるだけじゃよ」

良かった、と安堵してふらついたナマエをドラコは隣から腕を伸ばして支えた。
ダンブルドアはそんな二人の様子を見て微笑む。

「この子は、今までちょっとした冒険をしておったのじゃ」
「冒険…?」
「きっと、何か大事なものも得たに違いない。…さて。わしはそろそろお暇しようて」

ダンブルドアはフィオレをそっとナマエに渡した。
ナマエは腕の中に戻ってきたぬくもりを感じて、心の底から安堵した。隣でドラコも深く息を吐くのが分かる。
去り際のダンブルドアの表情に一瞬悲しげな何かが過ったが、二人がそれに気付くことはなかった。




「……ぁ、?」

まつ毛がピクリと動き、フィオレはゆっくり目を開いた。

「フィオレ!」
「…ぁーま?」
「まったく…心配したんだぞ」
「ぱぁ、ぱ」

フィオレは足をパタパタと動かして「おろして」とジェスチャーした。床に足の裏がついたフィオレはあたりをきょろきょろと見回す。

「ベァ?」


大きなくまの姿はどこにもない。
フィオレの瞳は次第にうるみ始めたが、視界の端に、茶色い革の絵本と紙袋が目に入った途端、ダッと目を見張る速さでそれに飛びついた。


「フィ、フィオレ?」
「こいつ足が速くなってないか」と呆れ顔のドラコ。

フィオレは本を抱えて、二人の元へ戻ってくる。


「その本…読んでほしいんですか?」
こくり
「絵本か?」
こくり

娘のキラキラとした瞳を見て、顔を見合わせるナマエとドラコ。

「でも確か、今日はマダム・ピンスがいないから貸し出しはできないってハーマイーニーが」
「書置きでもしとけばいいさ」

ドラコはフィオレから絵本を受け取った。


「ああ、いけない!」
「どうした?」
「ハリー達に、見つかったって報告しするの忘れてました」
「…ああ。じゃあ行こう」

絵本を小脇に抱えたドラコは、もう一方の手をフィオレに差し出した。ナマエもその隣で、反対の手を出して待っている。
フィオレは紙袋を大事にポケットに入れてから、駆け寄った二人の手をしっかりと握ったのであった。

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