ドラコと別れたナマエは、フィオレの名前を呼びながら校内を駆けまわっていた。あまり遠くには行っていないはず。見落としの無いように視線を走らせる。
ふいに後ろから陽気な調子の声がふたつ聞こえてきた。
「おや?そこにいるのはナマエじゃないか」
「ほんとだ。さてはキミも僕らにならってエスケープだな?」
「フレッド、ジョージ…!」
ニッコリ笑った双子の姿を視界に捉えて、ナマエはさっそく二人に駆け寄った。
「このくらいの、小さな女の子を見ませんでした?」
フレッドとジョージは顔を見合わせると肩をすくめてみせた。
「残念だけど、見てないよ」
「…そうですか」
「その子ってもしかして、今キミらのやってる"企画授業"ってやつの?」
「ええ」
「ふうん、俺たちも探すの手伝ってやるよ!な、ジョージ」
「ああ。WWWの新商品の相談は探しながらでも出来るしな」
「ほ、本当ですか!」
ありがとうございます!丁寧におじぎしたナマエに向かって双子はニヤっと笑みを交わした。まずはフレッドが咳払いする。
「ところで、ナマエ」
「はい?」
「きみマルフォイとは…えー、どんなかんじなんだ?」
フレッドもジョージもロンから話を聞いていた為、ナマエがドラコと仮の結婚をしたことを知っていたのだ。
ナマエは少し考えた後、頬をほんのりピンクに染めて「い…いいかんじ、です」と途切れ途切れに答えた。それからはもう逃げ去るように走っていってしまって、二人はしばらくその場に立ち尽くしていた。
「…俺たちのナマエが」
「言うな、ジョージ。ナマエの兄分として、暖かく見守っててやろうぜ」
涙目でナマエの背中を見つめるジョージの肩を、フレッドは強く叩いたのであった。
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