好き?誰が?ドラコ、が。わたしを――…すき?何を口にしていいか分からず如何したらいいのかもわからず。でも体温の急上昇は明らかで、きっと顔も真っ赤で、只ただ、茫然と目の前のドラコを見つめた。


「あ、あの、あの、わたし」
「落ちつけ」
「わたし…ド、ドラコがそんなふうに、思ってくれてたなんて、全然…しっ知らなくてそれで」
「落ちつけって言ってるだろ。僕は君をどうこうしようとは考えてない」
僕は自分の気持ちを、声に乗せただけ。ただ…


「ただ、君に伝えてみたかっただけなんだ」
「…ドラコ」
「君が迷惑ならこれ以上何か言う事はないし、何もしないから安心し――」
「ばか」

ナマエの口から初めて出たその言葉に固まってしまった。暴言なんて吐いた事もないだろうその唇から、確かにそれは自分に向けて発せられた。


「ドラコのばか、あほ、おばか」
「…ナマエ」

「わたしの、気持ちもちゃんと聞いてください」




ドラコの声を聞くとほっとするんです、
ドラコの目を見ると優しくなるんです、

世界がしあわせの色に染まって見えるのは、きっとあなたの隣にいるから。



「――…すき、です」



その言葉を聞いた途端、ドラコはナマエを力いっぱい抱きしめた。
やっとだ。
グリフィンドールがどうだとか、血が、父上がどうだとか、一切のことがどうでもよかった。今ここにある幸せを引き換えに出来るものなどなにもないだろうと思った。

ここまでくるのにどれだけの時間がかかった事か。
どれだけ、僕が我慢したことか。

「夢じゃないな」
「ええ、きっと」
「僕は君といて、いいのか」

返事の代わりに、ナマエはふんわりと花が咲くように微笑んだ。僕の好きな笑い顔だ。胸の中から溢れる優しくやわらかい感情はどう頑張っても言葉に出来そうにない。

だからかわりに精一杯優しいキスをしてみせた。

照れたように俯いたナマエが可愛らしくて、僕が必死で理性を保ったことは言うまでもなかった。

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