ざわざわ、ざわざわ。

ドラコはそのざわめきに不機嫌の色を丸出しにしながら応じた。すれ違う生徒達の声が嫌でも耳に入ってくる。


「今マルフォイと歩いてた子一体誰だ?」
「あの子じゃないか?ほら、グリフィンドールの地味な眼鏡の…」
「ええ!?あんなにかわい」

ヒュ、ドスッ!向かい合って話す二人の男子生徒の隙間を抜け、壁に突き立った羽ペンは鋭い追突音を立てた。真っ青になって冷や汗を垂らす二人をドラコは殺気だった目で一瞥してまた歩き出す。



「あら、ナマエ…!あなた一体どうしたの!?」
「…グレンジャー」
「その声は、ハーマイオニーですね!おはようございます」
「おはよう」

ハーマイオニーは明らかに不機嫌そうなドラコから目を離して、どうしてか眼鏡を付けていないナマエを凝視した。なるほど…マルフォイのイライラの原因はコレね。


「ナマエ、あなた、その方がずっと魅力的よ」
「余計なことを言うな…グレンジャー」
「あらごめんなさい、マルフォイ。あなたがそうと分かって外させてるのかと思って」
「そんなわけないだろ!だれが好きでこんな真似」


眉をへなりと下げたナマエから事の成り行きを聞き、ハーマイオニーは呆れたように溜息を吐いた。


「そんなの、修復呪文で直せばよかったじゃない…!オキュラス・レパロよ」
「!」
「マルフォイ、どうして思いつかなかったの?」
「黙れ……僕もそれなりに焦ってたんだ」
「よかったぁ…!そうしたらよく見える様になりますね!」


呑気にそんなことを言ってのけるナマエだったが、とある問題につきあたり動きを止めた。

「割れた眼鏡、部屋に置きっぱなしです」
「…じゃあアクシオで」
「施錠したのは僕だ。…完璧にきまってるだろ」

きゃらりと笑うフィオレ。事情も知らずに後から来たハリーとロンが、どよんと落ち込む三人の姿を見て首をかしげるのは、また別の話。

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