この場所を教えたのはドラコが初めてだった。それを伝えれば彼は満足そうに頷いて、腕の中に抱いていた赤ちゃんを陽だまりにおろした。それから自分も草の上にどっかり腰を下ろす。それを見て、ナマエも隣りにそっと座った。


「こいつ、あんまり泣かないな」
「そうですね」
「ん、あー、ま」
「…何が言いたいんだ?」

柔らかな頬を人指し指でぷにぷにとつついて、ドラコは言葉も話せない我が子に訪ねた。もちろんのこと返事は返ってこない。
ナマエはそんなドラコを見てずっと疑問に思っていた事を尋ねてみた。


「ドラコはどうしてハリーが嫌いなんですか」
「穢れた血や赤毛と一緒に居るからさ」
何の気なしに口にしただろうその言葉に私の胸は小さく痛む。ドラコは言ってからハッとしたように眉を下げた。

「…悪い」
「いいんです」

以前のドラコだったら「本当のことを言って何が悪い」と開き直っていただろが、彼はナマエと出会ったあの日から変わった。
ナマエの目は自分を対等に見た上で暖かく微笑んでくれている。

ドラコにとってそれは気恥ずかしいながらもこの上ない至福であった。


「ドラコが悪い人じゃないっていうのは、きっと私が一番知ってるんです」
「…僕は君が思ってるほどいい奴じゃない」
「そんなことないです」
「どうして言い切れる…また、勘か?」
「ええ」

だけど私の勘はすごくあたるんですよ、誇らしげに言ってのけるナマエにドラコはまた少しだけ救われた気がした。
同時に、ナマエが悲しむような言葉はなるべく言わないようにしようと心に決めた。


「マクゴナガル先生に聞いたんですけど、授業中は夫婦どっちかが子守りをするんですって」
「今日の最初の授業は魔法薬学だから合同だな」
「どうします」
「僕がみるよ」
「それじゃあ、授業が終わったら交代しますね」
「ああ」
ナマエは赤子をひと撫でして立ち上がった。

「それじゃあ、また後で。パパ」

そう言ってドラコに照れくさそうな笑顔を向け廊下を駆けていった。ドラコはその後姿をじっと見つめた後、ずるずるとその場に座り込む。
足元で赤子がくるんとした目を輝かせて、不思議そうに首をかしげた。

「…何だよ、あれ」
僕は何やってるんだ、父上が知ったら何と言うか、こんな


「かわいすぎ、だろ」

赤くなった顔を見られたのが、こいつだけで良かった。そう思いながらドラコはそっと黒い瞳を見返した。

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