ダイアゴン……それはみんなが大好きな場所……行くのには許可が必要だけど……今回は特別…ダイアゴン横丁……それはみんなが大好きな…

「ねえアンタちょっともう!!!!」
「へあっ」

ぱっと目を開けたら、金髪美女のドアップ。涙目でこちらを睨み付ける彼女を見て、寝起きの擦れ声で「どうしたの可愛こちゃん……」と尋ねる。ていうかどちら様?

「起こしても起こしてもアンタが起きないからじゃない!!」

朝っぱらからそこそこにブチ切れている彼女は、そういえば昨日少しだけ挨拶をした相手だということを思い出した。たしか、ルームメイトのレイチェルだ。


「揺さぶっても叩いても起きないし」
「あ、叩いたの?どうりでほっぺ少し痛いと……」
「ぶつぶつ寝言は言ってるし…病気なのかしらと思ったわ」
「……あれ?今何時?」
「九時よ」
「…………レイチェルはどうして私を起こしてくれたの?」
「どうしてって、下でトムがあなたを探してたから……ってあんたちょっとそんな格好でどこ行く気なのよ!!」

や、やばいやばい寝坊したー!!!!

「だって早く行かなきゃ!!シャバダドゥビドゥバされる!!また死の呪文うたれちゃう!」
「まだ寝ぼけてるみたいね...」

レイチェルにこの上ない変な顔で見られながらなんとか用意を済ませて談話室へ降りる。
さてなんて言い訳しようか。

@お腹いたくて...
A頭割れそうに痛くて...
Bお婆ちゃんが死んじゃう夢見てショックで
「やあナマエ」
「ホギャー!りっりりリドル!」
「いい朝だね」
「あああのあのそのお腹割れそうな夢見てそれでその寝坊しましたすみませんん!!」
「つまりただの寝坊だね」
「寝坊です!」


あれ?頭を防御しつつ、彼からの実力行使が無いことに驚く。
(あ。そっか、今は談話室だから猫かぶリドルか)
おそるおそる顔を上げると、綺麗な女の子達がぞろりと彼の側に控えていた。
リドルはソファで素知らぬ振りだ。あり?

「ミスミョウジ、お話があるの」
「びっくりするほどタイプです」
「だからちょっと外まで、.....え?」
「びっくりするほどタイプです、え!これは夢の続き?」

君が見てたのお腹割れる夢だろ、とどこかでリドルのツッコミが聞こえたがそれどころじゃない。彼女達のリーダーらしき女の子.....とんでもなく可愛い。

「あの、あのあの、どうしてそんなに可愛いんですか!お名前教えてください」
「え?わ、私?.....エレナよ」
「エレナお姉様!私今日からあなたのファンです.....って、くァ!と、隣の褐色系美女もスタイルとんでもない!ひい!あなたも足ほっそ!!.....こ、ここはサンクチュアリですか?」
「落ち着きなさいよ」
「1人ずつサインください!」
「いやよ、もう、変な子ね」

くすくすと笑う彼女たちを穴が開くほどじっと見ていたら、背中に穴が開くほどの視線を感じた。
(あっ)
だばっと汗を流しながらエレナお姉様の方へ一歩進み出ると、すかさず肩をガシッとやられる。傍目にわからないだろうが粉骨間近の力加減だ。

「さあ、そろそろ行こうか、ナマエ」
「り……リドル……けど私エレナお姉様達とこれから素敵なお茶会が」
「行っていいわよ」
「なんでっ!!」
「トム、この子悪い子じゃないわね。私達が勘違いしてたみたい」
「誤解が解けたみたいで良かったよ。さあ……行こうか」
「……」

魔王、玉座を立つ。
top
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -