ぺちぺち、と頬を叩かれる感覚に目を覚ませば、すぐ目の前に綺麗な顔があった。
なにこれ。羨ましい。こんな綺麗な顔してたら世の中イージーモードじゃんね。はーあ、女の子としての自信失うわー…。
「睫毛の長さとか最早姫レベル」
「……僕の心配返してくれる?」
リドルが私を支えてくれていたらしいと気付いたのは、リドルが無表情に手を離して床に転がり落ちた後だった。
心配?あれ、そういえばリドルと手を繋いだ後の記憶が無い。なんで寝てたんだ?
「えっと……とりあえずおはようリドル」
「まだ夜だけど」
「あ、そうなの。じゃあこんばんわ……っていうか私どうなった?爆発とかしてないよね!?」
「急に気絶したんだよ。五分前にね」
時計を見ると、時間は0時5分を指していた。
リドルはまだ湯気のたつコーヒーを一口すすって、肩を竦めた。
「驚いたよ。死の呪文が時間差で作用したのかと思って」
「やれやれみたいな顔してるけど私死んでたらリドルが犯人だからね。逮捕だからね」
「君が死んだらレダクトして爆散したことにするから大丈夫」
「真顔で冗談やめてよ…………ねえ早く冗談って言って!ねえ!!」
「静かに」
「………!」
煩くさせてるのリドルなのに怒られた。こいつとの関係は今一度見直してやる。
「それで、何か異変はあるかい?」
そう尋ねられて、私は身体をぺたぺたと触った。
「うーん……あんまり分かんないな」
「本当に?違和感や、感覚の変化…。何でもいい」
「変化かぁ……あっ!しいていえばもうちょっと胸があった気がするさっきまで!」
「次ふざけたらその貧乳窪みにするから」
「ごめんなさい異常ないですいつも通りの貧乳でした……」
女の子としてのプライドを根こそぎへし折られた私は、改めて真剣に体の変化を探してみたが、やはり何の異変も感じられない。
「まあ、色々試してみるのは明日でもいいさ。君の魔力があるのは確かなんだ」
私の落胆を感じ取ったらしいリドルが、さりげなく励ましてくれる。どこはかとなく彼自身に向けて言っているような気もしたけどそこは気にしない。
「うん、ありがとうリドル」
「……明日はダイアゴンへ行くんだろ」
「ダイアゴンって何?」
「生徒は皆大好きな場所さ」
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