ダンブルドア先生が指をぱちんと鳴らすとテーブルにはずらりご馳走が並び、天井にはロンドンの夜景にも勝る星空が広がった。魔法すごい。

「リドル、私、ちょっと感動して泣きそうだよ」
「気持ちはわかるよ。でもナマエ、上ばかり見てないで食事を始めないと、あっという間になくなっちゃうよ」
「それはならぬ!」

料理はほんと例外なく美味しかった。
特にパンプキンケーキが最高。あと2個は食べたい。

「さあ、そろそろ行こうかナマエ」
リドルは物腰柔らかに立ち上がると、私の後ろに立った。
「(モゴモゴ)ふぁ?どこに?」
「学校を案内する約束をしていただろ」
「や、そんな約束してな」
「したよね?」
「したかも……しれません」

一瞬、魔王降臨した。
泣く泣くブルーベリンマフィンだけ手にとって広間を出る。
リドルはこんな時も
「編入生の案内を頼まれちゃって」
と困った笑顔を回りに振り撒くのを忘れない。



「リドルの猫かぶりってすごく不吉なものを見た気になる」
「失礼なのはこの口かな?」
「はひっ、ひたいひたいはなひて」
「さあ付いてきて。君の魔力の謎について解き明かさなきゃ」

心なしかうずうずとしているリドルに続いて人気のない廊下を歩くが、動く階段に喋る肖像画に、ホグワーツは魅力の限りを尽くしていた。

これリドルいなかったら私一瞬で迷子になる自信あるわ。

「ここがスリザリンの談話室だ」
「ドアないけど」
「この肖像画がそうさ。合言葉を言うんだ」

リドルはひとつ咳払いをすると、「白い蛇を撫でよ」といい声で言った。彼の言う通り肖像画の裏には階段があり、地下へ続いていることが分かる。

合言葉はまだしも、談話室までの複雑なルートだったりとか、私は完全に覚えられていない。早くも迷子フラグが立ちまくっている。
その心配を口にすると、
「大丈夫、しばらくは僕が君を監視するから」
とありがたいお言葉をいただいた。はあ、ジェレミーに会いたい。




スリザリンの談話室は黒を基調としたシックな雰囲気だった。
まだ生徒は広間で食事中のため人気はなく、私とリドルは暖炉の前にある座り心地のよいソファに腰かけた。

「なるほど、じゃあ今の君の魔力は外側には一切流れ出ていない状態なんだね」
「うん。そうみたい」

正直実感はない。まあ実感なんてあったらあったで
「くっ、内なる魔力が疼く……」みたいなことになって大変な中二病感だ。
ふざけたことを考えているのは私だけのようで、リドルは未だに難しげな顔でぶつぶつ言っている。

「魔力の過多に関わらず彼女に対する全ての魔力が拒絶されるのだとしたら……」
「リドル?何をもにょもにょ言って」
「アバダケダブラ」

リドルに向けられた杖の先から緑色の閃光が放たれる。体を貫かれたようなその衝撃を受けて私はソファの向こう側に転がり落ち、二転三転して立ち上がった。
「、やはり…」
「てめえええ!!ヤハリじゃないわくそリドルこらぁぁ!!ビックリして心臓ひっくり返るとこだったでしょうがぁ!」
「普通止まっちゃうんだけどね」
「もう!急に魔法ぶっぱなすの止めてよね!いくら効かないからって」
「ナマエ」

がしっと手を握られる。
リドルの目はこれでもかと言うほどきらめいていた。

「今ので全てに確信がついた。ダンブルドアは君に嘘をついている」
「……え?」
「魔法に関する全てを拒絶、なんて非現実的なことを聞いてからずっと疑問に思っていたことがあった。さあ、おいでナマエ」
「え、ちょ、またどっか行くの?今度はどこ?」

私の腕をつかんで振り返ったリドルがにやりと笑う。優等生らしからぬ悪い笑みだ。

「答え合わせさ」


(そういえば、さっき私にかけた魔法ってなに?美肌になる魔法とか?)
(死の呪文だけど)
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